伝説より楽譜 マーラー交響曲第6番

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マーラー交響曲第6番 第4楽章。

ハンマーを2回たたく版と3回たたく版がある・・みたいなのを読むことがありますが・・・
みんな使っている楽譜は2回しか書いてないものでしょう。
3回書いてある第1稿で演奏するわけじゃないですね。
推測に基づいて3回目を強引にプラスする演奏があるだけじゃない?・・
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第1稿(最初に書いたもの 3回目のハンマーつき、他の管楽器、打楽器もど派手で楽章内の類似個所と同じコンセプト)

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第2稿(ハンマー削除だけでなく、他の楽器も薄く弱くなっていて、他の類似個所とは違う)

マーラーが実際に演奏してみて得られた考えを反映した第2稿。
ハンマーをやめただけでなく、楽器配置をうすくして、ダイナミックスも大幅に下げる方向に変更しています。
重要だと思うのは、ティンパニです。
第1稿は2人が同時にffでたたくことによって逃れられない運命の宣告を強調していました・・音量音色だけではなく、視覚効果を狙ってますよねティンパニ2人が同時に動くとものすごく目立つから・・・
それをやめて一人がfでたたくだけに改訂・・・

音量を落としただけでなく、この場所の意味をそのもの変えていると思うんです。
明→暗はそのままというかチェレスタ追加とハープの改良でむしろ強調されましたが、でっかい音でズドン、ワー!っという大騒ぎは避けてるんですよ。
このことによって曲の最後で止めを刺され息絶えるさまが大きく強調されることになったのだと私は感じます。
この稿を使いながら、ここで面白がってハンマー鳴らしちゃうのは・・・

また別途書こうと思ってるんですが、この楽章、再現部は運命との戦いですが結構勝利傾向で、派手な凱旋のあとやっと明るい光のさす未来が手に入る!!というところで暗転、やっぱり死んでいく・・みたいなことになっています。
素晴らしいんですが、その暗転箇所がこの3回目のハンマーだったところなんでしょう。
でも構造的にその前に10小節の緩衝地帯というか、明とも暗とも確定しない部分が置かれています。
明るい光が奪われてから衝撃まで10小節もたつくんですよね・・・
(バーンスタイン、ウィーンのDVDじゃなく88年くらいのCDの方は1稿とも違うこの10小節前にハンマーがあるように聞こえるんだけどこれどうなんですか?・・・)
私のような虫みたいなのがマーラーの曲に文句を言おうというのではないですが・・
ここで刺すより、曲尾にみんなもってっちゃったほうがいいけどな・・
いいけどなじゃなくて、作者はそうしてるんですよね。

3回目のハンマーをたたくのなら、前後のオーケストレーションを第1稿に戻して曲後半のコンセプトごと変えてしまわないと中途半端なんじゃないかなぁ・・

9番もそうですけど、この曲、関係者の証言に基づく伝説にまみれた解釈をされてきたというところがありますよね。
一番近くにいた関係者のいう事だからみんな大事にしちゃってきたけど・・・
伝説は置いておいて、事実を整理していくと・・
心臓病で死の恐怖におびえていたというのも、団員ともめてウィーンを追われたというのも
事実と全然違う間違いみたいですよ・・
例のあの人の語るマーラーがこう言った・・っていうのは・・・怪しいよね・・・
その後のえらい指揮者が3度目のハンマーはこういう意味だといった・・とかいうのもよく目にしますが・・
偉大な演奏家たちが一つに時代を築いてきたんだと思います。でもそれはそれ。

古参のファンは怒るかもしれませんねこんなこと言われると。

実演にいったとき、ここでもハンマーたたいてました・・
ハンマーっていうけどあれ掛合ですよね。。

3回目、いらん感じがしたけど正直に言うと
「あっまた見れんの?お得じゃん」みたいな低次元な考えが浮かんでいたりして・・

指揮者は
「お客さん、せっかく来たんだ、珍しいもんだからもう一回見てきな・・サービスでやってあげるから」
みたいな次元でやってるわけじゃ・・・ないだろうそりゃ・・


私はこれまで3回目のハンマー付きな演奏を愛聴盤として喜んで聞いてきたんです・・
でも初稿みてこんなこと考えてたら逆に今まで敬遠してきた演奏が急にしっくりくるようになったりして・・

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