名人芸 

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マーラーのスコアを見ていると ’ が打ってあってルフトパウゼが指示されているのをよく見ます。
指揮者だったマーラーならではだなという気もします。他の人の曲でもふっという間を効果的に入れて聴衆をあっと言わせてたんでしょうね・・

交響曲第2番の第1楽章
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展開部の頭で非常にわかりやすい感じに奈落の底みたいなところへ落ちていくんですが・・

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泥の中から這い上がるように重い足取りでまた歩き始めます。だんだん勢いもついて、

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復活のテーマが出てきてなんかこう「よーし頑張るぞー」くらいまで言えるところまで来ました。

そしてその勢いに乗って何か結論を言おうとしたら・・・

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突然場面は戦乱の真っただ中なかみたいになっちゃってそのなかへ放り出されるわけですよね。
なんか飛んでくるし、降ってくるし・・
頑張ると言ったな?・・じゃぁやってみろ・・、みたいな
ここで、
短い間に ’ が3回出てくるんですね。
最初の突然戦乱の世界に放り出されるところは矢印とがごちゃごちゃ文字とかものすごいことになってますね。

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自筆譜ですでにこの指示明確化していました。
ものすごく粘って・・・ふっと間をおいて・・・突然突進する!だそうです。
いいですねー何とかしてここを劇的なものにしたい作者の気持ちが文字になってあふれちゃている感が・・

どちらかというとこの木管が三連符で降りてきたところの ’ のほうが衝撃的ですよね。
ものすごい勢いでなんか落ちてきているのに着弾寸前に全楽器が一瞬止まる・・・
目の前で起きていたことが急に映像の一時停止みたいにピタッと止まったらものすごくびっくりします。そんな映画があった気がしますがあれみたいですね。
こういうの一歩間違えると陳腐な印象になっちゃうけど、ここはすごいということで喜んでたいなぁ・・

さらに同じことがもう一回繰り返されるんですが、ここも同じように間を取っちゃうと個人的にはシラケるんですよね。
受けちゃたからまたやっちゃったみたいな・・・
次はさらっと進んじゃうくらいが好きです。
YouTubeを見るといろいろありますが、この間って難しいですね。思い切り開けると緊張がゆるんじゃうし、やってんだかやってんだかわかんないんじゃ効果がないし・・指揮者の名人芸的な部分なんじゃないかなぁ・・・
昔聴いててびっくりしたのがあったんだけどどれだったんだろ?
聴きすぎて慣れちゃったのかな・・

この修羅場的な音楽が第5楽章で再現されるんですが、
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ここはルフトパウゼなしで進みます。
ティンパニを3人でたたいていて見せ場・・
ここのティンパニ、楽譜的にはすごい感じですが、聴いてても見ててもなんかあんまり盛り上がんないんだよな・・私的に・・
落ちてくる三連符、よくみると一度目はfffで二度目はffなんですね・・
そう書いてるんだから聴く方もそう感じないといけないんでしょうねこれ・・
ここをちゃんとわかるように聴かせてくれる演奏っていうのもあるのかな・・


第5楽章、合唱が盛り上がってクライマックスを迎えるところにも ' があります。
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自筆譜にはルフトパウゼ!!っという念押しがしてあった。
!を2つかいてアンダーラインもひいちゃってもうどうにもルフトパウゼなんですね・・
ワルターのステレオ盤はここルフトパウゼなしで進んでたと思います。
1楽章もそう・・基本的にマーラー特有の極端な癖のある表現はぼかしていることが多いと思う。
できるだけ多くのまだマーラーを知らない人に受け入れてもらいたかったから・・・なのかな?
マーラー本人も何度も演奏するうちにそんなことやらない演奏をしてたこともあったりして・・

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