ブラームスを初めて聴いた思い出

聞かれてないのに昔話を始めたら老人である。
興味深い話を聞かせてくれる人もいるが、大抵は、相槌を打つのもめんどくさいような・・
これも後者だろう。

クラシックに目覚めかけのころ、まだ何も知らず、何もなかった。
教育テレビで毎週土曜の夜にN響の演奏を流す番組があったので毎週楽しみにしていた。
司会が芥川也寸志でなかにし礼、木村尚三郎が何か少し話す。冗談を言っても品があり、あんな大人になりたいと思っていたが、それがどんなことか当時はわからなかった。
今でもわからない。

ブラームスのピアノ協奏曲第1番二短調をやった回があった。
何も知らないのでブラームスというと
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この髭とハンガリー舞曲第5番くらいしか知らなかったので、田舎の詐欺師がジプシー音楽をやってるみたいな訳の分からないイメージを持っていた。

詐欺師の田舎音楽が始まると思って待っていると曲が始まったが、冒頭から唖然とした。
トリルがいっぱいで気味の悪いこの音楽はなんだ!?でも田舎音楽じゃないぞなんだこれ・・と圧倒されていると静かにピアノが入ってくる。この世で一番美しい音楽はこれじゃないのか・・とその時思った。・・びっくりしている間に50分はあっという間に過ぎてしまった。
ブラームスってすごい!
どうしてもまた聞いてみたくなり、翌日の2時ごろ再放送があったので録音することにした。
偏屈な家だったのでビデオなんてない。よそからもらったラジカセがあったが、そのラジカセにもテレビにもLINE端子なんかない・・
仕方がないのでテレビにイヤホンをつなぎ、ラジカセのマイクにセロテープで張り付けるという暴挙で対応した。
テープも持っていなかったが、従兄のお下がりの英会話教材テープをつぶして録音した。
プロテクタがかかっていたが、ツメの代わりにセロテープを貼ると録音できる事には気づいていた。
もちろん英会話なんか一度も聞いてない。
いざ録音。。曲の途中でテープが終わってしまい、オートリバースなんてあるわけなかったのであわあわ言いながらひっくり返した。2楽章の再現部に入ったところ、途中から始まるその位置が今でも耳に焼き付いている。

そのテープは何度も何度も聴いた。あらゆる場所が好きになってしまった。
この曲を書いたブラームスは
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このブラームスだろう。
のちの古典的フォーマット内で自分の音楽を表現しようとする彼ではなく、抑えられない気持ちがそのまま出ているロマン派そのものの音楽。
当時はそんなことよくわからなかったけど。

死ぬまでに解決したいことが一つある。
こんなに心に残った演奏なのに、ピアニストが誰だったかわからないのである。
見たのは多分1987年、NHKアーカイブスだったかそんなのを見てみたが範囲外な感じで分からなかった。
指揮者の名前は後半がカリーデスだったと思う。芥川がギリシャの指揮者と言っていた記憶がある。
検索するとそれらしい人がいるので多分その人だろう。
ピアニストは黒ひげを蓄えていた。。見た目的にルプーだったのかなと思っている。
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ルプーの同曲CDを聴いたが、第1楽章第3主題後半の特徴のある歌い方が記憶にある演奏と同じだ。
他にも記憶にあるあの名演と似ている部分があった。
でもこの盤は愛聴盤にはならなかった。

ルプーもその後なんだか気難しい感じになっちゃったんだっけ?

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