十字架

サンサーンスについて書かれてたものを読んでいるとこの人インテリを絵に描いたみたいな人だったみたいでなんだかおもしろくありません。
でも悔しいことにこの交響曲第3番はよくできたいい曲ですよね。
オーケストラにパイプオルガンを内包した音楽というのが最大の特徴で、その後似たようなのがいっぱいありますがバランス、効果・・あとなんすかそういう巧さはこれが一番じゃないかと思っています。
ベートーベンの交響曲第9番は合唱が出てくるまでの3つの楽章がとても素晴らしく、そこも含めての第9なんですよね。
でもそのあたりは前座みたいなもので後半の合唱ばっかりが第9だと思ってるような人がいるんじゃないでしょうか。
いたっていいんですけど人それぞれだし。
この曲もオルガンが出てくるトラック2からしか聞かない人がいたりして・・
Allegro moderatoもいい音楽なのでちゃんと聴きたいですね。
その第1主題、トレモロみたいに細かい音を繰り返すのが特徴ですが、

頭が16分音符一個ぶん歯抜けなんですね。
弾くのはプロなのでこんなの朝飯前でしょう・・問題は私がちゃんと聴けてないことで、どうしても最初に8部休符があるように認識してしまうんですね。
実際にはこの主題は音楽のビートみたいなのといつも不安定な感じにずれて聴こえなければならないはず・・
たまに木管なんかとずれてるのを感じるんですが、全体的には合っているように聞こえちゃうんですよね・・・

再現部は繰り返す二つの音がタイでつながっています・・ついに本当の姿を現した・・みたいですが、
これ本当は旋律が拍から滑り落ちているように聴こえなくちゃいけないんでしょう・・

このホルンやトランペットの上昇していく旋律と弦楽器は16分音符一つ分タイミングがずれているはずですよね。
でもおなじに聞こえちゃう・・・
このずれてる主題、

終楽章の後半のいいところで再び出てきます。でっかく重くなって・・
切り込むように入ってくるオルガンは拍に乗っかっているので緊張が生まれており最高です。
Allegro moderatoからPoco adagioへ移行してく部分・・

暗闇のような序奏の音楽に戻ってうろうろしていると、2本のホルンがボーとかいってオルガンの登場を暗示します。
でも何も解決しないまま謎めいた感じですぐに消えてしまいます。
もう一度低弦が何か言うと半音上に乗っかるように今度はオルガンのAsが聴こえ・・・突然ペダルのDesと右手のFが鳴って変ニ長調が確定し、弦楽器が祈りの歌を歌いだす・・
このハ短調の暗闇から突然暖かい変ニ長調の祈りの空間へ連れていかれるところが最高なんですよね。
手前でホルンが一回とぼけた感じでオルガンを模倣することが効果につながってるんじゃないかと思ったり。
以前はふっとい音のペダルにのった包み込むようなオルガンが好きでした。‥ppの指定だけど・・
最近は小さいというかかなり遠くで鳴っているようなオルガンも好きかな祈りの世界みたいでいなぁ・・
この柔らかいオルガンの響きにに乗って弦楽器がコラールを歌う・・・もしかすると昔からあったコンセプトかもしれないし、単純なアイディアですが最高ですね。
この後、似たようなことをやってる曲がいろいろありますが、みんな二番煎じ感が・・・
最初にやったもん勝ちですよねこういうの・・
先日聴きに行ったときは入りの直前でオルガニストが鏡の位置を直してた・・鏡で指揮を見ながら演奏するんでしょう?
オルガンはだいぶ奥にあって遠いからオケの音楽を聴いて弾いたら全然合わないんだそうです・・
別なホールは液晶モニターだった。
鏡だと指揮者とオルガニストが目で会話できるんだって、どこかで読みました。
そういえば昔よくN響アワーを見た。NHKホールはオルガンが明後日みたいなところにあって、演奏者はステージ上の電気式コンソールだからさらにやりにくいんじゃないかなぁ・・自分が弾いてるのと聞こえてくる音がすごくずれてるんでしょう?
オルガン+弦楽器の歌が一段落すると、

今度は弦楽器が伴奏に回って管楽器が歌いますが面白いのはユニゾン管楽器のがクラリネット、ホルン、トロンボーンなことですよね。当たり前なんでしょうけど楽器間のバランスで音色が全く変わります、クラでもホルンでもトロンボーンでもない不思議な音色を聴かせてほしい・・

循環主題が怪しく表れた後再び祈りの主題が歌われてクライマックスに至ります。
素晴らしいですよねこのあたり・・
頂点を過ぎてちょっと行ったところでオーボエとがひそかに上っていきます。
神聖な高い高い山を上る・・頂上を過ぎるとそこに十字架が立っていた・・
いや、こんなのただの合いの手だろ・・と言われちゃうんでしょうが・・私には十字架です。
この十字架が聴こえない演奏があるんですよね・・・それは悲しいです。

最後の転調もなんか変ホ長調和音から変ニ長調和音へ動いてるんですか・・不思議なかんじですよね。
残ったオルガンにmorendoの指示、ここで音量が落ちていく感を味わいたい・・こういうのはオルガンの性能で決まっちゃうんだそうですが・・
若いなぁ