多重テンポ

ショスタコーヴィッチの最後の交響曲となった交響曲第15番
この曲も好きです。
書かれたのは1971年らしいので世間はもう無調とか訳の分かんない前衛にももう飽きてきちゃってたような頃でしょうか・・
このひとつ前の第14番は無調音楽っぽいんでしたっけ?
この15番は再びにちゃんとイ長調という調性があって素人にもわかるようなメロディーと構成・・
ウイリアムテル序曲やワーグナーの指輪からの引用が耳に残ります。自作をはじめ他にもいろんな引用が隠されているらしいですね。
曲の最後の部分も大変印象的でこの曲が好きな人はみんなあそこが好きでしょう?
作者自身がこの世にお別れを告げているようにも聞こえるし、ハイドンから伝わってきた交響曲というジャンルがここで終わるんだよと言っているようにも(私が勝手にそう思うだけですが)聞こえます。
よく聞けばそんな中で無調他いろいろやっています。
西洋音楽の大原則としてすべてのパートが時間的には同期しているというかテンポは共通の一つしかない。
というタブーを破る・・この曲の第1楽章にもそれががあります。

第1バイオリンが主要主題によるこの旋律をを8分音符で奏します。

フーガのように遅れて入ってくる第2バイオリンとヴィオラ、このように6連符で同じ旋律を・・
実際のテンポは第1ヴァイオリンと同じなのですが見かけ上、第1ヴァイオリンに対して6/8のテンポで聞こえるという事になります。
さらに遅れて入ってくるチェロとコントラバスは

このような5連符なので見かけ上のテンポは第1バイオリンの5/8、ヴィオラの5/6ので聞こえるはずです。

それらの同時進行
前衛音楽みたいに聴いてもうんざりという感じではなくて、かなりわかりやすく面白い。

後半、倍の速さで木管楽器もやります。
この楽章は作者の子供のころをを・・みたいな話でしたっけ・・・
この曲全体が作者自身の回想とこの世へのお別れのような何かを言っているなという感じが伝わってきます。