夜のとばり

リヒャルトシュトラウスのアルプス交響曲

夜のとばりが降りて・・・暗闇に浮かぶアルプスの山影・・
冒頭から最高ですよねこれ。
変ロ短調の音階が下降していくわけですが、そのまま全部の音伸ばしっぱなしというか・・
全部の音で埋め尽くす・・
これトーンクラスターですよね。
トーンクラスターと言うと壊滅的な何かみたいな衝撃的な表現になりがちですがこれはいい感じです。
静かな夜、外に出てみるとゴーとかいう訳の分かんない暗騒音を聴いて空気というか大地の存在を感じる・・みたいなのがありますがあれですよね。
この降りてく感じがまさに夜のとばりが下りる・・ですよね。
ものすごく単純なアイディアのようですが誰にもできなかった禁則でしょう・・
しかしこの遠くに見えるアルプスの主題もかっこいいなー
こういう視覚的な何かを音化させるとこの人ほんとに天才ですよね。
その後夜明けに向かっていくところはラインの黄金の冒頭のまるパクリのような気がするんですけど、この人位になるともう誰も文句言わないんですね。
夜じゃないけど嵐の前・・

雲が出てきて不穏な空気になってるなか・・遠くで光っていると思った雷が意外に近くで鳴って・・なんて思っていたら一気にあたりが暗くなっていく・・・
この一気にって感じが出てるのもいいよねぇ・・ここもったいぶっったような演奏じゃいけないですよね・・
こういうの思いついたとき思わずニヤッとしたりするのかな・・

また夜のとばりが下りて暗闇に浮かぶアルプス・・で終わっていくわけです。
最後にヴァイオリンが歌うのは山登りの動機と言われている物でしょう。
山登りの姿を描いたんじゃなくて主人公の姿か気持ちか心の動機なんですよねこれ。
今日一日を思い出しつつ疲れちゃってて・・・最後の大きな下降グリッサンドは眠りに落ちる瞬間でしょう?
そのバックには何があろうとびくともしない安定の山影・・
コントラファゴットがゴーとか言ってるのが少し聴こえるとこれがかっこいいんだなぁ・・・
テューバも2本だし、オルガンも鳴ってるし分厚い和音で・・でっかいなーかっこいいなーアルプスって・・
