いかのしおから

桃屋のイカの塩辛というのがあります。
昔、TVでCMが流れていました。
小学生くらいか、まだ音楽なんて知らない頃。
イカ釣り漁船の船上でイカが上がってくるシーンのバックになんだかすごい音楽が流れていた。
音楽が原始の野蛮な戦いみたいな何かとんでもないことが起こるのを予告させる・・・

神がつくった巨魁みたいな
1061.png
こんなのが海から上がってきそうな旋律が押し寄せてきて後にトロンボーンが叫ぶ・・
みたいな
このトロンボーンの叫びの無茶苦茶感みたいなので笑っていたような記憶が・・
画面上はイカがたくさん上がってきていたような・・
YouTubeを見てみたけど、いろんなバージョンがあったみたいでこれは見つけられなかった。

音楽なんて興味はなかったけど、この音楽すごいインパクトがあって大好きだった。
いかにも日本的‥みたいな事を漠然と感じて、このCM専用に作曲された音楽だとずっと思っていました。

中学に入りクラシック音楽に興味を持つと、ラジオを聴くようになった。
ぼーっと聴いているとプロコフィエフのスキタイ組曲「アラとロリー」というのが流れ出した・・その時の1曲目について何も覚えていないのは全然理解できなかったからだろう・・・2曲目、
イカの塩辛が流れ出してぶっ飛んだ・・・
ここにいたのかこの音楽は・・

第2曲の曲名は「邪神チュジボーグと魔界の悪鬼の踊り」。
名前からしてものすごい・・
この曲、若いプロコフィエフのやりたい放題やってやる的な感じがあふれていていいですよね。


Scythian Suite, Op.20
984.png
冒頭、5小節目から出てくる弦とホルンがやっているのはイカのテーマだ。
トロンボーンの上昇音型が畳みかけるのが面白い。




そういえば・・
昔々、遠い親戚が漁師をしていました。
お前も一緒に来いと言われて日の出前から小さな漁船で海に出た。
漁を見るも何も港の外に出た瞬間から船酔いで撃沈しそうに・・
迫りくる波を見て船の動きを予想できれば酔わないことに気付き、必死で前方の波を見ていた・・
内蔵ごと口から吐き出す恐れがあったが何とか無事に陸に戻ってくることができた。
でも結局何をやっていたかはなんてほとんど見られないまま終わってしまった・・・

朝とってきた魚を11時ごろにもういい頃だろとかいって刺身にして食べさせてくれる・・あれはうまかった。
それもうまかったがけど、別な日に鰤の刺身の残ったものが一晩冷蔵庫の中で眠っていた。
次の日の朝、残り物だけどという謙遜的なコメントに支えられて出てきたそれは、
確かに歯ごたえは落ちていた・・でも味には奥行き、深みが出て・・
開いた口が塞がらない・・というのはこのことかと思った。
呆れるくらい旨かった。
人に自慢できるようなことは何一つない私の人生の中で唯一の・・とか言いたいくらいに・・


一度覚えたおいしいものは忘れられない。
若いころに少しだけ務めた会社はわけがあって部長という人が直接の上司であった。
もともと別な企業でトップを約束されたルートに乗っており、かなりの高収入もあった。しかし派閥間抗争みたいなのに巻き込まれ、上が失脚したため不本意ながらここにいるのだ・・というようなことを言って威張っていた。
自称美食家で、「あなたなんか食べたことがないと思うど・・」で始まる話もよくしていた。
私も若かったのでなんでも真に受けてすごい人なんだな、なんて思っていた。

一度その上司に高級か何かしらないけど「お前はこんな所これねーだろ」みたいなお店に連れていかれた。
「うまいだろ・・お前はこんなうまい魚、食ったことも見たこともないだろ!」・・
そもそも割り勘で何を威張ってるんだろうという気もしながら・・
一応「こんなおいしい魚は初めてです!」なんて言っておくと満足そうだった。
大してうまくもないそれを食べながら、あぁ世の中ってこんなもんなのかと思った。
それが原因ではないけど、この人とやっていも人生の時間を無駄にすると思うようになり、その会社はやめてしまいました。

お前も刺身くらいで何語ってんだと言われちゃうと思いますけど、他人の一流自慢なんて私にとっては何の意味もないものなんじゃないのかな・・

コンサートは海外の一流オケしか行かない!なんていうひともいますが、本当に肥えた一流の耳を持っていて他は受け付けないのかもしれませんね。
私も海外のそんな超メジャーというわけでもないオケを聴きにいきましたところその底力に圧倒されたこともあります。またあの体験ができたらいいなとも思います。
でも私の耳はそんな一流なんかじゃないから国内オケでも感動して帰ってこられるし、
見た目も収入も頭の中もずっと三流でしかないことが明らかなので、手の届く範囲でおいしいものを楽しめばいいと思ってます。
おいしいものは意外にもその辺に転がってる事があるかもしれないし。


実はイカの塩辛は苦手です。
桃屋の瓶詰だと穂先メンマというのが好きだった。
最近はあんなものがあると食べ過ぎちゃいそうなのであえて買ってこないようにしてる。

Tag:プロコフィエフ  Trackback:0 comment:0 

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Author:unagi
誰にも迎合できません
2022年11月からピアノ習い始めました

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