「葬礼」を適当に面白がる

コンサートへ行ってきて刺激されたので調子に乗って適当に・・
マーラーの交響詩「葬礼」。
ずっとなかったことになっていたわけですよね・・
交響曲第2番、第1楽章の前身みたいな曲です。
野際陽子がNHKのアナウンサーだったみたいな話ですか。違いますか。
交響曲第1番はある若者の歌ですが曲の最後で彼は死にます。
この曲はあの彼のフォローですよね。
交響曲第2番になると葬式だけじゃなくてあの世を経て復活するのだ!まで行くんでしょう・
ハンス・フォン・ビューローにピアノで弾いて聞かせて「これに比べればトリスタンとイゾルデはハイドンの交響曲のようなものだ」とか言わせたのはこの稿なんですかね。
出版したかったけど失敗に終わり、さらに改訂をして交響曲第2番につなげていきます。
そういう解説はよそにもいっぱいあるからいいですよね。
楽譜を並べてここがこう違う!とかうだうだ言うのが好きなんですが、葬礼の楽譜が手に入らないので・・
2番のスコアを見ながらインバル指揮の葬礼を聴いて喜ぼうという感じで・・
楽器編成がまず違いますよね。ティンパニがまず一人だ・・ハープも・・
ホルンも4人・・なんというか、普通の編成ですよね。
開始は意外と違和感なく始まります。最初にあれっと思うのはここ

木管の歌がバイオリンに引き継がれるここ・・
バイオリンが木管と重なって出る・・

このティンパニもなくてあれ?となる・・
こういう細かい差異はほんとにたくさんあってその後の曲でも改訂前後でこんなさがよくあります。
これらをみんな拾ってると進まないので適当に面白いところだけ・・

第2主題再提示のあたりでクラリネットの旋律が若干今と違います。

その後また暗転したところ、今はないヴィオラの対旋律が聞こえる。
悪くないですよどね・・

このあたり今はないヴァイオリンが網をかけたような細かい動き・・・ちょっと行けばその続きが残っていますよね。
このあたりから面白いですよ。
音源も出し直しましょう。

展開部の終わりあたりでヴァイオリンソロが旋律をフルートに渡してまた帰ってくるのが・・
トゥッティじゃんか・・・と驚いていると聞いたことのない音楽が始まる・・
私、ブル8はノヴァーク版で覚えたのでハース版を聴いたときは色々たまげました・・なんだこの寄り道・・みたいな
あれを思い出しますが・・
もたもたしてたところを思い切りカットしちゃってますね。
さぁ、そしてその先、ここが山場じゃないかと思うんです。

現行展開部の頭。大きなショックを受けながら主題が叫ばれ、ティンパニが主題を叫ぶのを聴きながら奈落の底へ崩れ落ちていく・・・
すごい名場面ですよね。
葬礼稿は調性も違うし、主題の後のショックがなく無音・・・
すかさずホルンが怪しく出てきて何か歌う。
これ、昔読んだ本でバッハの小フーガト短調BWV578に似てる書いてあった。今回のプログラムにも。
私知りたいのはマーラーはBWV578を聴いていたのかな?
ものすごく有名なのに復活してよく演奏されるようになったのは実は結構最近という曲がありますよね?
まぁいいかそんなの・・
奈落の底に沈んでまた低弦が這い上がるように登ってくる・・というコンセプトは同じなんだけど・・
現行版は人知を超えた強い力で引きずりおろされていく・・みたいな感じなんだけど
こちらは何かこう、怪しいけど素朴な土臭い音楽が続くんだよね・・自分で歩いていくんだけど力尽きて倒れちゃうみたいな・・・
とても面白いともうのはティンパニが主題を歌う・・はここでもやってるんですよねpで・・
これまた7番でも象徴的に出てくるんですよね。

奈落の底から登ってきてまた活気づき始めたあたり、現行にはないティンパニがとても目立ちます。
復活の主題が出てくるここで

このティンパニがないんですよね。
この一撃で空気が一気に変わるのが面白いいと昔から思ってきたので、ないのは衝撃的・・
その先のモルトリタルダンドやルフトパウゼは全然やっていないのでまだ書いてないんだな・・

2台のティンパニが面白すぎるこの部分はそもそもティンパニは休み。
ユニゾンで下降する動きが2小節くらいあったのをもたつくからかカットしているんですね。
これも聞くと結構びっくりする。
その先は二人のティンパニがいない分、シンバルがバシバシ言ってる。
再現部に入って・・

このあたり、鳥がいっぱい鳴いているの・・・
この世の鳥じゃなくて三途の河みたいなところにいる鳥かなぁ・・

この、ティンパニがホルン、ハープと一緒に歌うところが面白いと思うんだけどまだない。

このあたり、現状テューバは低いCの伸ばしだけど、葬礼はトロンボーンの4番みたいなところをやってるんじゃないかなぁ・・

最後のこの下降でティンパニがトレモロを盛大にやってる・・・
これも衝撃的だ。
この下降をどんなテンポでやるべきか問題みたいなのもあると思うんだけど、これがヒントになるかな?
ならないか・・
昔本で読んでその存在を知り、興味はあるが聴きもしなかったこの曲。
やっと出会えました。
音だけじゃなく目の前でやっているのを見てなんぼのマーラーだから、その違いを演奏会で体験できて幸せでした。
作者はこれが演奏されることをどう思っているかな?
ハンス・フォン・ビューローはワーグナーに傾倒していたのに自分の嫁さんをワーグナーに取られちゃったんでしょ。
それから反ワーグナー的な位置づけのブラームスのほうへよっていったんだっけ?
マーラーのこの曲を聴いて「この曲が音楽なら、私は音楽が解らない」と言ったとか何とかいう話があった。
本当はビューローほどこの音楽を理解できる人はいないくらいないんじゃないかと思う。
写真を見るとなにか意地になってるようにみえたりして。
大きなお世話か。