いわずじまい

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マーラーの交響曲第1番なんかは初めて聴いたその日から魅了されてしまいました。
でも7番は正直最初は何がおもしろいんだかさっぱりわかりませんでした。
聴く前に本で駄作扱いされている的な話を読んでしまったのもいけないかもしれません。
自分にこの作品が見えていないだけなのを作品のせいにしちゃって・・
良さに気付くのに、20年くらいかかったりました。

音楽以外にもそういうことがいろいろあるかもしれません。

本当は音楽って前に出てきたのを踏まえて後ろがあるんだから前の方から書いてかなきゃいけないんでしょうけど、いい加減に思いついたことを・・

夜がテーマーのこの曲、第1楽章の展開部は
暗いお堀のそばで柳が揺れる・・そこにはムジナ・・みたいな序奏の音楽と
猛然と走りだしてかっこいい・・と思ったらタンバリン持って陽気に歌いそうな謎の夜の神・・みたいだった第1主題
が入り乱れて騒いでいるんですが、何とかして
月明りの下、美しく光る夜の女神(第2主題)を呼び出そうとする・・そして・・

みたいな流れを感じるんですが・・


その女神の主題はヴァイオリンが旋律を歌い他の弦楽器の複雑で柔らかいベールみたいなものが・・という書法で
4番の3楽章くらいで目覚め、5番のアダージェット、6番第1楽章の第2主題などで花を咲かせてきたあの手法ですね。
オクターブのバイオリンがただ進むんじゃなくて片側すーっと消えたり出てきたり、少しずつずれていたり・・しながら美しいエロ世界みたいなのを作っているという・・

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こことか・・・なんとなく聴いちゃうとただのオクターブですが・・よく見ると下にだけ全打音があるとか、上だけトレモロやってるとか、途中から2番が上になってとか・・
なんか細かいことになってるんですよ。
これ見ちゃうと聴き取ってやろうとか思いますでしょ?
多分、全部聞きとれなくていいんでしょうね。でも素直にやってるのとは違う何かが受け取れたらいいなみたいな・・

なんども出てくる全打音付きの深いターンみたいな音型は5番のアダージェットを思い起こさせますよね。


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ちょっと手前第2バイオリンに出ないはずのFisが括弧つきで書いてあります。
そんなつもりでってことでしょうか?

この展開部に現れた第二主題が支配する世界・・異様に明るい月明りのもと、美しく歌い盛り上がっていく・・・
ちゃんと周りで第1主題とか序奏の旋律がまわりでいろいろ絡んで展開部してる・・
主役で歌ってるのは女神だけど・・すぐそばには夜の神が・・

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一度頂点に達した後、再びゆっくりゆっくり登っていく・・・ついに本音を告白するのか・・・・聴いてる方ももう拳に力が入って!!・・
というところで突然、


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暗い序奏の音楽が出てきて再現部に突入しちゃうんですよね。

世界最高の美しく幸せな雰囲気の中、女神が夜の神に向かって「私はあなたを・・」・・ボツ!・・むじなでございますぅ・
なんだおい!きえちまうのか!?最後まで言ってけよてめー!
みたいでしょう。

その後の胡散臭いムジナの音楽が
コントラバスがズズーズズーとか言ってるのがちょっと笑っちゃうでしょう・・これとトロンボーンが掛け合いをして・・
そこへまTテナーテューバが「いや、主役俺だから」とか言って出てきて歌いだす・・・
関係ねーよとまた主役取っちゃうトロンボーン・・・

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みたいなことをやってると黙ってたホルンが「ほんとの主役は俺だけどね・・」とか言ってかっこよくみんな持っていっちゃうんですよ・・
その先、ホルンが作ってくれたすごい勢いに押されたティンパニや弦のトレモロに乗ってオクターブのバイオリンが再び絶唱する・・

やった!女神また出てきてさっきの続きを歌てくれるんでしょ!?
っと超期待感で盛り上がった次の瞬間
女神の顔は化け猫に代わっており・・・
また暗い闇の中でムジナな世界へ・・

マーラーが何を考えていたかは知らないですが、ここ最高に面白いと思うんですね。いまは。
これ曲を聴きなれないときはせっかく出てきた第2主題を十分に歌い切らないまま訳の分かんない序奏の中に停滞しちゃって・
なにがいいたいんだかわかんねーよなんだこりゃぁ・・なんて思っていました。
この女神復活がフェイントなのも許せなかった・・


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聴き手としてはなんかこう言う・・ああよかったなーみたいな幸せ感に浸るというのをのを期待するわけで・・
こういう中断みたいな手法はその辺にもたくさんあるんだと思いますが、このどうしてくれる感が・・
それがまた再現部突入のところにきているのも・・


ソナタ形式で展開部が終わって再現部に突入していくところというのは作曲家の腕の見せ所なんですよ。
いろんなやり方があるんですけど、その二つの結合力がどれだけ強いかみたいなの・・
こんなパターンもあんのねというこの曲。

文句めいてもいるけどこの女神、再現部でまた現れてくれます。
そこではもうちょっと本音を歌ってくれてると思う・・
手前でこれだけじらされてるから、あそこにあんなに浸れるのかもな・・
そこもまた・・最後はじゃまたねっ!みたいにどっかいっちゃうんだけど。

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じゃまたねっ!な付近
景色的に6番の残像みたいなものも感じます。
この最初のターラッターというフレーズはマーラーの曲のあらゆる場面で見かけます。
彼の口癖みたいなもんですよね。

訳の分からないと思った音楽も20年後に大好きになったりしますので、今好きでない曲もいつか・・みたいな適当な期待感があります。適当に楽しいですよ。

Tag:マーラー交響曲第7番  Trackback:0 comment:0 

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