鼓笛隊

私は団塊ジュニアというやつみたいで、人口増加のピークの年の生まれです。
小学校は生徒数増加に対応するため校舎を増築していましたが間に合わず、臨時で建てたプレハブを教室にしたりしていていました。近くに新設、分校する話が結構前からあったみたいですが、生徒数が減少に転じてしばらくたったころから工事が始まり出来上がったころはもう的な。
先日その小学校で運動会がありました。
鼓笛隊の音が聞こえてきたのでのぞいてみると人数が少ないので広い場に少人数がさばけて全員主役みたいだ。結構衝撃的だった。
がんばれがんばれ。
そういうの大好き!という人もたくさんいるんだと思いますが、とにかく人前に出るのが嫌だった私があんなことになったら何かトラウマになっていたかもしれません。
私のときには人数が多かったので少数の太鼓隊の後ろに大量の子供が列を作って続き、洗脳された子供が街から連れ去られる場面みたいでした。大多数の中に紛れて身を隠したかった私にはちょうど良かった。
でも、今でも譜面に起こせるくらいにあのリズムパターンが頭の中で鳴るのは興味があって好きだったからだと思う。本当は自分だってやってみたかった・・
幼稚園というものに通いましたが、あの頃はまだ人前ででっかい声で歌って踊ったりするのも楽しかった記憶があります。
太鼓をたたかせてくれたら楽しくやれたかな・・・でもまだそういうのなかったんだよね。
その後、太鼓隊みたいなものを導入したらしく妹が出演するというのそれ系のコンクールみたいなのを見に行きました。
その時小さな男の子が胸の前に音高の異なるいくつかのドラムをさげ、かっこよくソロでたたいていたのが印象に残っています。
もう幼稚園くらいから目立って特別な子というのがいるんだよね。
あの子だってもうおっさんだよな。その子供が中学生くらいかもしれない。
出世してえらくなってるかな?
音楽やってるかな?
鼓笛隊といえば、昔マーラーの交響曲第7番のフィナーレ冒頭を
初めて聞いたとき、あの時に見たあの小さな男の子のドラムを思い出しました。
記憶の底に貼りついていた映像がよみがえってくるみたいに。

演奏にもよるし、最近はそうでもなくなってきたけれどまだここにだけ違和感というか抵抗感を感じるんですね。
もっと言えば嫌いだった。
始めのうちはこれを恥ずかしいと思ったり、「何やってんだよマーラー」みたいに思っていました。
ティンパニが裸で旋律をたたいて始まる・・なんていう場面は沢山あるし、仮にへんてこりんな音楽だとして・・そういうの大好きなはずなんだけどなぁ・・このハ長調の能天気さが嫌なのかなぁ・・
子供のころ見たあの太鼓が目に浮かぶのは何なんだろう・・・
この記事を書いたり消したりしているうちに自分はここの響きに曲と全然関係ないトラウマやコンプレックスを引っ張り出されているんじゃないかという気がしてきた。
音楽ってすごいね。
その出てきた嫌な気持ちが曲への拒否感にすり替わっているというか・・
ここを何のこだわりもなく楽しく聴けるようになったら私の心の整理も完了ということで。
ティンパニ冒頭にはmit bravou・・華麗にとか見事にみたいな感じ?
導入としてとかじゃなくて冒頭から一人ド主役ですよね。
昔見た幼稚園のソロはmit bravouでした。
テンポとしてAllegro ordinarioなんて書いてありますが、ordinarioというのは古い音楽にあるような指示で、マーラーの時代には使わなかった言葉だとどこかで読んだ気がします。
そうするとこれなんなのとかいって気になりますよね。
普通のアレグロくらいの意味しかないんですが、もっと何か違う謎をかけてるんだと思う。
この楽章ボーと聴くと能天気なお祭りみたいだけど、かなり複雑でいろんなお楽しみ仕掛けが隠されているんですよね。
さぁ、どこまで見つけられるかな?みたいな。
逆に2番を聴くように妙な筋書きを探ろうとして聴いてるとなんだかわけのわかんない駄作に聞こえちゃうと思う。
本当はいろいろ楽しいとてもいい曲なんだよね。