覚悟

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40歳も過ぎると、
自分の未来に希望が膨らむという事もあるわけがなく、
あがいてもみたけれどその結果から自分のこの先が見通せてしまったようで何だか寂しい気もする。

ブラームスは作曲家として大成功した人ですから晩年も人がたくさん寄ってきて結構豊かな時間が過ごせたかもしれません。
でも、独身を貫くことを選んだ彼は本当は孤独だったんじゃないかと思うことがあります。
マーラーが晩年のブラームスを目撃して魂の抜け殻みたいだったというようなことを言っていたのを昔本で読んだ。
交響曲第3番の最後で彼は自分の人生を受け入れているように見える。
次の交響曲第4番はもう自分の人生を悟ってしまった後の音楽だと思うんです。
脂や色気は抜けて、自分を見つめ、寒風に耐え・みたいな。
秋を感じるけれど、赤や黄色の葉が美しい秋じゃないと思う。
もう葉は全て落ちてしまい、雪が降るのを待っているような秋じゃないか・・・



自筆譜には撤回された短い序奏が残っているらしいです。
いきなり始まる第1主題は秋の情景のようにも聞こえる素晴らしい音楽だけど、どんどん力を増していき、事態は抒情的な景色なんかじゃなくてとんでもないことになっているんだと知らせる。
そこに現れる第2主題は

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この後半4小節、ホルンと木管が奏するこれです。
展開部、コーダなどこの主題が曲を支え、動かしています。
これは、孤独人生を受け入れた男の決意を示すファンファーレだ。

これを受ける形で歌われるチェロとホルンによる歌謡主題みたいなものはその後展開されない為、どの解説にもこれは経過句であって主題ではないと書いてありますよね。
実際そうなんでしょうけど経過句というと、大して意味のないつなぎ・・みたいにも聞こえてなんか嫌です。
そんな形式論にだけとらわれたような言いようには萎える。
これはとんでもなく大事な場面でしょう?大事なことだからそんなに何回も言わないんだよ。

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男の生きざまみたいなストイックな伴奏に乗って歌われるこのきびしいチェロの歌、それがヴァイオリンに引き継がれた時チェロと同じことを言うのではなく4度?上がってさらに強い念押しというか強く心の叫びのように歌われるんですね。
ここは尋常でないものを感じる。
1人で生きる覚悟をしたものの決意表明、心の叫びだ。
白装束で、短刀も用意して・・命をかける覚悟で筆を持つ・・みたいだこれ・・

・・・もしかすると強がりなのかもなぁ・・
弱気になると孤独に負けてつぶされちゃうから・・自分を奮い立たせてるんだよ。

個人的にはあのファンファーレだけが第2主題だというのではなくて、この歌を挟んでもう一度ファンファーレが鳴り響く
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ここまでを第2主題部みたいに捕えていいんじゃないかと思うんです・・ブルックナーとかそういう感じで。
チェロとヴァイオリンのこの叫びの歌を決意のファンファーレが抱きしめてるみたいでしょう?
ここで強がってみた後、音楽は明るく力強く盛り上がって見せるんですよ。
すぐまた、晩秋の中に落ちていくんだけど・・

・・・こんなことばかりかいて、ちょっとあほみたいでしょう?
でも音楽を聴いて何を感じるかは人それぞれだからね。
おっさんの唯一の楽しみだから・・言わせといて。

中学生の頃はこのチェロの歌をどう聞いていたんだっけかな・・
ものすごい剣幕でなんか言ってるような印象は感じてた気もする・・
人生の~みたいなことは実感できるはずもなかっただろう。
何だか忘れちゃったけどこの曲が大好きだったのははっきり覚えています。

音楽雑誌のエッセイみたいなので、ブラームスの交響曲は40歳を超えないとわからない何かを持っているらしいとよんで、そのころの自分はどうなっているんだろう?この曲をがどう聞こえるんだろう?なんて思た覚えがあります。
まだ、40歳の自分なんか想像を超えたはるか先にあった。

その40歳は実は簡単にあっという間にやってきやがった・・俺自身は俺らしく少しも進歩していないんだけど、でもこの曲についていろいろ言いたくなるようにはなったよ。
フィナーレがなぜあんなに厳しいまま終わってしまうのかも、分かるような気がしてきた。

だからと言って自分が4番みたいな気分になるのはまだまだ早いと思う。
本当はまだ2番みたいな世界じゃなきゃおかしいんだよ。
さらにまた、60歳くらいでどう感じるんだろう?
というのも出てきた。

長く生きてこの先この曲がどう聴こえるようになるのかも知りたい。
そのためには気力を維持しないとね。
今ちょっと危うい。
あなんだこれ
自分で自分にとっていい道を探さないと・・・よくわかんないんだよな。
まあいいや音楽聴こう。

Tag:ブラームス  Trackback:0 comment:6 

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unagi

Author:unagi
誰にも迎合できません
2022年11月からピアノ習い始めました

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