だましかた

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20年くらい前のインターネット世界にはブログとかSNSなんて規格化されたものは何もなかったけど、何かしたいような人が集まっていてちょっと面白かった。
私は自分の曲をおいておくと聴いてもらえるのがうれしくて作曲をしていました。
ある日、「これはあなたの曲じゃないですか?」みたいなメッセージが来たので書いてあったリンク先に行くと女の子の個人サイトに自作と称した大量の曲があり私の曲が一つ紛れている。
多分他の曲もみんなそのたぐいなんだろう、連絡を入れると無言で削除され・・・
病んでるんだろうなと思い腹も立たなかったけど・・なんというか・・・
あの子はちゃんと幸せになれただろうか?そもそもほんとに女の子だったのかな?


昨日の記事を書いて思い出したんですが、アルビノーニのアダージョと呼ばれている有名な曲があります。中学校の音楽の先生に借りたCDで知りました。
1958年に出版されたこの曲はバロック時代の作曲家アルビノーニを研究していたことで知られる音楽学者が自筆譜の一部を発見し、それをもとに演奏できるように編曲したもの・・・
ということになってはいたようです。
発見者はその資料を公開しなかったため、最初から話自体が怪しいと指摘する人もいたようだ。
音楽を聴き始めの中学生にも感じられる違和感を持ったこの曲・・・その違和感は編曲によるものということにカムフラージュされたから有名音楽家がこぞって録音したりしていたのか?・・・
実際はみんなおかしいと知っているけど契約しているレコード会社の商売を見越して大人の対応みたいなものがあったのかもね・・
それでも研究者はこれはアルビノーニによるものだと言い張っていた。
その死後どこにもそんな資料は存在しないし、これは100%研究者自身の創作だと結論付けられているという。

何にしろ面白いのはそのばれた後も曲自体は多くの人に愛されちゃってるという事・・
この手の偽作なのがバレた的な騒動では、絶賛してたやつらはみんな馬鹿。恥ずかしい黒歴史。みたいになる可能性もあるはずだ。
でも実際YouTubeでこの曲を検索するとものすごい数の動画が出てくる。
再生数はどれもクラシックの有名なものに比べて桁違いに多い・・・
超絶大人気じゃないか。
昔映画か何かに使われたのがきっかけで認知されたみたいだ。
その大半の人は作者が誰か、偽作か真作かなんてどうでもいいんだと思う。
バロック音楽とは何か?も全然興味もないんだろう。


そもそもその人は何でこんなことしたんだろう?
他人の作ったものを自分の名前で発表し喜びを得たいみたいな情けない人がいる。でもこれ逆だ。
並の人間なら、こんなに人気が出る曲がかけたんなら自分の名で発表したくなるのが人情じゃないのか?
でもこの人のやりたかったのはどうもそこじゃないんだろう。
やっぱり研究者だから未知の作品を発見した!というのをやりたかったのか・・・
遺跡の発掘現場に土器を自分で埋めてみんなの前で出た!とかやっている病んだ親父がいませんでしたっけ?

ユーモアだったのか?

それとはまったく別なところでこの曲、オルガンに乗って弦楽が歌うというロマン派後期にはやったフォーマットにいかにも映画音楽みたいなキャッチーなメロディーで・・うまいことやりやがった。
中間のソロバイオリンが出てくるあたりなんか若干寒い気がしないでもない。
むしろクラシックをあまり聴かない人に訴える曲かなという気もする。
でも後半長調に転じるあたりなんか救いの光が当たってるようで何だか素晴らしいじゃないか・・
私も久しぶりに何度か聞いちゃった。

この件、数年前に日本であった偽作曲家事件とは何か全然違う世界にある気がする。
遺跡に埋めちゃった人とも違う次元にいると思う。
何しろみんなに愛される曲をつくって残しちゃったんだから・・
日本の変な人たちには悪臭みたいなものしか感じないけど、こちらはどこか笑って許せる感がある・・

考えてみるとそのアルビノーニという人の曲は一曲も聴いたことが無くて作風も知らない。
これがこんなに有名になちゃって草葉の陰でアルビノーニはどう思っているんだろう・・

古い作曲家の作品だと信じられていた曲が実は別人のものだった・・というのはよく見ます。それはパクったとかじゃなくて時間の流れの中で後世の人間が勝手に間違えていただけだと思う。
大バッハの代表作みたいに言われるトッカータとフーガニ短調BWV565はもっと後の時代の別人の作じゃないかと私は思っています。
じゃあ聴かないかというとそんなことはない。
聴いてよけりゃ聴くんだよね。誰の作だろうと。
ただ時々作者の人生や人間そのものと作品をを重ねて感じたいときもあるからね・・・



どうでもいいけれどこの曲について検索すると色々な事を書いたものが出てきた。
ネット上の情報を真に受けることは本当に危険だと思う。
この件でというわけじゃなくWikipediaもかなりおかしい事が平気で書かれていると思う。
ネットじゃなくても同じか。
私が私だと思っている私も私じゃないかもしれない。



Tag:音楽を聴く話  Trackback:0 comment:4 

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クラシック音楽が好きです。

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