不安

徳川家康が隠居所に選んだ静岡は前は海、背後は超絶深い山、左右も海まで迫った山とでっかい川に守られています。
海辺のレストランで気分よく飯を食った後、海岸線沿いに車を走らせると山にぶつかる。

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ここはその山の一つを新幹線が貫く新日本坂トンネル入り口付近。
普通新幹線の線路は周りより一段高い盛土の上にあったりして別格感を出している事が多いと思うんだけど、ここは平地というかその辺にレールを敷いちゃっている感じ。
このあたりは新幹線よりはるか前、戦前の弾丸列車という計画に基づき昭和の初めに着工されたことの名残を見ているんじゃないかと思う。
弾丸列車自体は戦争で計画が中止となってしまいましたが、ここと新丹那トンネルは早期に着工されていました。
あそこはやばいぜ難工事になる・・とみんな思っていたという事でしょう・・
一時は在来線がこのトンネルを使ったりしていた。
そして
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あの岸辺に転がった赤いものは明治に開通し大正時代に改築されたレンガ積みトンネルの残骸
あの奥には海岸線に沿って複線の線路が敷かれていたはず。
けどもう擁壁の残骸が波に洗われているのみである。
この海岸の名前は大崩海岸。
そのままじゃないか。
トンネルを掘っても海が攻めてきて山ごと削っちまうんだから・・・

この山を越える国道は今長大なトンネルを通過している。
旧道はまだ生きていて面白い。
この部分、
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道は山に取りつくことをあきらめて海に逃げている。
時々見ますけどねこういうの。
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橋の下から見るとさらにわかりやすい。
山にへばりついた旧道は廃道となっているだけでなくその覆道はあの向こうで山に押しつぶされがれきの下に消えている。
人の命も巻き込む大規模な崩壊のあと、放棄されたようだ。
ネット上には廃道マニアみたいな人がたくさんいてここは結構有名。
なんて考えながらふらふら歩きまわっていると・・
!?・・・
背後で音がする。
石の転がる音・・
一度じゃない・・・・なんどもなんども・・・
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みると小石が止まることなく山の上から落ちてくる・・・
土砂崩れの前には前兆現象がある・・みたいな話が頭をよぎる・・
先日大きな地震があったばかりだ・・・
いや、ここは年中こんなかんじなんだろう・・・と頭の中で考えながらも
不安な気持ちが広がってゆく・・


https://www.youtube.com/watch?time_continue=269&v=niF6Y7ZNqys
ニールセンというデンマークの作曲家による交響曲第4番
この30年くらいで有名曲になっちゃったんじゃないでしょうか。
日本人には理解しにくいですが地続きのヨーロッパ、小国は常に大国にのっとられて自分たちの文化やアイゼンティや家族の命・・築きあげてきたすべてのものが失われるかもしれないという危機感を持っていたんじゃないかと思います。作曲当時ソ連かどこか知らないけどリアルやばい時期だったと思う。
曲は冒頭から何だかバカ騒ぎみたいで聴き始めた当初理解できませんでしたが、
活気のある街、行きかう人々、生き生きとした人の暮らし・・なんかそんなものじゃないかと思う。
その後落ち着いてクラリネットで歌われる第2主題こそがこの曲のコアで、彼らのアイゼンティティを表しているんだと思う。
それがその後金管で輝かしく、力強く歌われるのは彼らの誇り万歳!・・永遠に!・・みたいな話でしょう。
その輝かしい光が落ち着くと
フルートとホルンあたりがなんだか余計なことを言い出す・・
ヴィオラに吹き込む不穏な風・・・
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不安はどんどんエスカレートして、何かを切り裂く狂気のようになってゆく・・・
ちょっとホラー音楽的なこのあたりが実にい印象的だ。
不滅というとティンパニ2台というのにばかり注目しがちだけど、ベートーベンの第九で合唱しか聴かないのと同じくそれはちょっとどうかと思う。(私がですよ。他の人がどう聞くかは勝手で文句も何もありません)
この不安の動機みたいなものと、祖国愛みたいな旋律はフィナーレのクライマックスみたいな場面で再び出てきて象徴的にならされる。

山が崩壊しやがったらもう助からないななんて大げさに考えたけどそんなことなかった。
みんなに迷惑をかけているんだから辞めなくちゃいけないんだ・・
なんて思ってつぶされそうになり・・つぶれたこともあった。
あれも勝手な勘違いらしいことはわかってる・・・
いや、やっぱり勘違いじゃないだろう。
まあつぶれたというか自分が弱くて逃げたんだけど。

現代社会は生きづらい・・
じゃあ昔は生きやすかったのか・・
昔は村社会で周りになじめず孤立すればすぐ死に直面していたはず。
上司や部下とうまくいかず・・とかいうけど武士の世界でそんなこと言ってたら命もなかったりしたんじゃないのかな・・
隣の国がいつ攻めてきて何もかも踏みにじられる可能性を常に感じながら・・
昔は生きづらいどころか生きていられるかもわかんないような超絶ストレス社会だったんじゃないかなぁ・・
でもまあ、だから何だという話で。
もっとつらい人がいるんだからあなたは幸せでしょう?みたいな話は意味がない。
時にはそれは野蛮な暴力だと思うこともある。
今自分で書きそうになったけど。


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海っていいですよね。
何がってこともないけれど。

Tag:ニールセン  Trackback:0 comment:0 

プロフィール

unagi

Author:unagi
誰にも迎合できません
2022年11月からピアノ習い始めました

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