暗い日の箱根
幼いころ、父親の勤務先の保養所が箱根にあり家族で泊まりに行った。
父親の友人一家と一緒だった事もあった気がする。私から最も遠く出来れば見たくないと感じる光景が、今思えば私の家にもあった。
何度かあったかもしれないそれには最低な記憶となっているものもあり今はその訳もわかるのだけれど、始めのうちは楽しみだったしハワイに行くくらいのインパクトがあったと思う。

15年くらい前か、休日の夜になると花火の音が盛大に聞えるようになった。
すぐ近くのようなのに見渡してみても何も見えないし、どう調べても近隣のどこにも花火大会を行っているところはない。
ずっと不思議だったのだけどある時わかった。
前の晩にみた箱根芦ノ湖上での花火の段取りと全く同じ内容で音がしている・・・
芦ノ湖上の花火の音がカルデラ内で反響し外輪山の淵にある私のうちまで届いていたのだった。まるですぐその辺でやっているかのような鮮明な音で。
ハワイかと思った遠い箱根は実は空間的にはすぐ近くなのだった。
先週の三連休の最終日、昼食のレストランで嫌な思いをし気分が下がる。もともとさがってたまま出かけるからそういうお店にしか出会えないのかもしれない。
曇った天気みたいな気分で行先も思いつかないまま適当に走っていると箱根。
連休の箱根なんて笑顔あふれる人間だらけだ。人間拒否症をこじらせているので近づきたくない。
人なんか来ないようなところでも眺めるか。

ここは大涌谷の裏側というか何でもないようなところ。
硫黄のにおいが立ち込め、立ち入り禁止の囲い・・
記憶が定かではないけれど、あの大地震以降ただの林だったところに蒸気が出るようになった気がする。
その分、この先で出ていた蒸気は止まってしまった。
木は歩いて逃げるという事ができないから、地熱とガスでやられて枯れてしまった。
今はみんな倒れているけれどまだみんな立ったまま煙の中で悲鳴も上げずにじっとしている光景は印象的だった。
逃げることは間違いとか弱いとかいうけれど、逃げられるって得難く素晴らしいことですよね。
そこから少し下ると

大涌谷の下流。上にぶら下がっているのはロープウェイ。
一昨年だったか箱根が噴火したという時にはこのあたり一体にとてつもない轟音が響いていた。
始めのうちは皆車を停めてみていたりしたけれど、ほどなく危険なため車を止められないようにする処置がされた。
私も面白がってへらへら見ていたけれど、突然何が起こるかわからないのが山の噴火である。何もなく終わったのは偶然にすぎず、ここを通過している車を巻き込む大惨事が起こっていてもおかしくなかったのかもしれない。実際、最近もそんな例がたくさん起きていると思う。
電柱に取りつけられた金具は硫黄ガスで腐食している。ガードレールも腐食ですごいことになってどのあたりまでどんな風にガスが流れたのかを教えてくれる。
この周囲の木々もすべて枯れて死の谷の様相。

ここを流れるあの水というかお湯?
箱根の最高のお湯が流れてるんだからあれも溜めればいい風呂になるのかな?
https://www.youtube.com/watch?v=aoyhh0ZaWM0
これはバルトークの弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽・・の第1楽章。
弦チェレとかいったりします。
中学生の時、ラジオで初めて聴いた。
曲名にチェレスタとあるからきっときらきらとした素敵な音楽だろうと・・・
でも流れだしたのはこんななめくじの葬式みたいな・・
なんかショックを受けたような記憶が。

今ではこの曲かなり好きで第1楽章も嫌いじゃない。
死人の声みたいに始まるけれど実はフーガかよという音楽。
箱根のロープウェイみたいに峠に向かって登ってゆき、そこを超えると主題の音高が上下反転した転回形で降りてくる。
チェレスタが鳴っているあたりはあの世への入り口が開いているみたいじゃない?彼岸花がいっぱい咲いてそうな・・
最後は1点に収束して消える。
一見、この日の私の気分みたい・・・どこまで行っても満たされないのだ・・みたいな。
でもこの楽章数学的に設計されてたりもするらしい。
おっさんのナメクジみたいな心とは次元が違うんだ。
しかしこの動画を作った人も何を考えてこんな映像をあてたんだろうか?
もうちょっと下ると

早雲山駅というケーブルカーとロープウェイの乗換駅。
ロープウエイは設備更新で建物も新しくなったみたいだけどケーブルカーを含むあの駅舎は昭和すぎ。タイルの装飾・・
昭和なトイレ健在。
よくわかんないけど石原裕次郎とかの白黒映画の頃みたいな印象。

この鏡に手書きの広告もなんか懐かしいような・・
乗り換えの人がたくさん。
あんまり見ないようにしたりして。
ケーブルカーというと麓駅と山領駅みたいなのが多いけれどここは中間にも駅を持っている。

そんな小駅に移動してみてると結構利用者もいるみたいだ。
いい歳をしたおっさんがケーブルカーを見物して喜ぶ。
幼いころこのあたりへ来た記憶が。
当時は踏切があって線路を渡れたと思う。
踏板の間をケーブルがゴーっとかいって走っていて・・

今はあんなの危険すぎてゆるされないだろう。引っかかって持ってかれちゃった人とかいなかったのかな?
鉄道好き少年だったから強烈に印象付けられたこの場所の記憶は忘れない。
この後強羅の駅前に降りると人だらけだ。
嬉しそうな若い人の笑顔・・そういうのが平気というか楽しいと思うときもあった気がするんだけど。でもこの日はダメな日。
カフェらしきものも見つけたけれどぼったくり臭やがっかり予感がすごいのでやめる。
もう一度山を登り

峠を越えてロープウェイが芦ノ湖へ降りる終着駅。
ここからさらに峠を越え山を下りて富士山までの延長計画みたいなものがあったことを何かの本で昔読んだ。
実現していたとして、存続していたかどうか・・
ここも幼い時に来た記憶があり目に焼き付いていた。
初めて自分の車を持ち、地元付近に帰って来た時その光景を目にしてちょっと泣きそうになった。
最近設備更新で建物も建て替えられ、もう年月もたちすぎて長年焼き付いていたという記憶があるだけになってきたけど。
そして嫁さんと初めて会った日に走ってきたのもここだ。
考えてみれば思い出の場所だ。
駅の中の土産物屋をふらついていると

なつかしい、万華鏡だ・・・
40年近く前、この同じ場所で祖母が妹にと万華鏡を買ってあげたんじゃなかったか・・しばらくうちの中に転がっていた。
その妹とももめてはいないがうまくいっているとは全く言えない。何を見ても嫌な話に直結する。
箱の中にいる万華鏡を覗く女の子の写真は多分その当時から変わらないんじゃないか?
彼女は今どこでどうしているだろうか?幸せになっているかな?
孫がいたりするのかな?

幼い子を含む家族が記念撮影したりしていた。
嫁が下がってくのを見れば私も下がるし・・お互いだろう。
しかし今日はあっちを見てもこっちを見ても・・・
この日はカフェも何も諦めて帰宅。
犬と散歩していると近所の子供に子供ができたらしいことを知る。
しばらく嫁と犬の散歩に行く時このルートさけなくちゃ。
世界はバルトークの音楽とこの日の天気みたいに鉛色だ。
書いててこの記事何の内容も救いもないじゃないかなんて思っていたら
またコメントで彼岸花の別名についていろいろ教えていただきました。
どうもネガティブ傾向な・・でも神秘的な名前がたくさんあるんですね。
不思議な花。
人が苦手だけど人恋しいなんて言ってる私はコメントをいただけると
うれしいです。
ありがとう。
父親の友人一家と一緒だった事もあった気がする。私から最も遠く出来れば見たくないと感じる光景が、今思えば私の家にもあった。
何度かあったかもしれないそれには最低な記憶となっているものもあり今はその訳もわかるのだけれど、始めのうちは楽しみだったしハワイに行くくらいのインパクトがあったと思う。

15年くらい前か、休日の夜になると花火の音が盛大に聞えるようになった。
すぐ近くのようなのに見渡してみても何も見えないし、どう調べても近隣のどこにも花火大会を行っているところはない。
ずっと不思議だったのだけどある時わかった。
前の晩にみた箱根芦ノ湖上での花火の段取りと全く同じ内容で音がしている・・・
芦ノ湖上の花火の音がカルデラ内で反響し外輪山の淵にある私のうちまで届いていたのだった。まるですぐその辺でやっているかのような鮮明な音で。
ハワイかと思った遠い箱根は実は空間的にはすぐ近くなのだった。
先週の三連休の最終日、昼食のレストランで嫌な思いをし気分が下がる。もともとさがってたまま出かけるからそういうお店にしか出会えないのかもしれない。
曇った天気みたいな気分で行先も思いつかないまま適当に走っていると箱根。
連休の箱根なんて笑顔あふれる人間だらけだ。人間拒否症をこじらせているので近づきたくない。
人なんか来ないようなところでも眺めるか。

ここは大涌谷の裏側というか何でもないようなところ。
硫黄のにおいが立ち込め、立ち入り禁止の囲い・・
記憶が定かではないけれど、あの大地震以降ただの林だったところに蒸気が出るようになった気がする。
その分、この先で出ていた蒸気は止まってしまった。
木は歩いて逃げるという事ができないから、地熱とガスでやられて枯れてしまった。
今はみんな倒れているけれどまだみんな立ったまま煙の中で悲鳴も上げずにじっとしている光景は印象的だった。
逃げることは間違いとか弱いとかいうけれど、逃げられるって得難く素晴らしいことですよね。
そこから少し下ると

大涌谷の下流。上にぶら下がっているのはロープウェイ。
一昨年だったか箱根が噴火したという時にはこのあたり一体にとてつもない轟音が響いていた。
始めのうちは皆車を停めてみていたりしたけれど、ほどなく危険なため車を止められないようにする処置がされた。
私も面白がってへらへら見ていたけれど、突然何が起こるかわからないのが山の噴火である。何もなく終わったのは偶然にすぎず、ここを通過している車を巻き込む大惨事が起こっていてもおかしくなかったのかもしれない。実際、最近もそんな例がたくさん起きていると思う。
電柱に取りつけられた金具は硫黄ガスで腐食している。ガードレールも腐食ですごいことになってどのあたりまでどんな風にガスが流れたのかを教えてくれる。
この周囲の木々もすべて枯れて死の谷の様相。

ここを流れるあの水というかお湯?
箱根の最高のお湯が流れてるんだからあれも溜めればいい風呂になるのかな?
https://www.youtube.com/watch?v=aoyhh0ZaWM0
これはバルトークの弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽・・の第1楽章。
弦チェレとかいったりします。
中学生の時、ラジオで初めて聴いた。
曲名にチェレスタとあるからきっときらきらとした素敵な音楽だろうと・・・
でも流れだしたのはこんななめくじの葬式みたいな・・
なんかショックを受けたような記憶が。

今ではこの曲かなり好きで第1楽章も嫌いじゃない。
死人の声みたいに始まるけれど実はフーガかよという音楽。
箱根のロープウェイみたいに峠に向かって登ってゆき、そこを超えると主題の音高が上下反転した転回形で降りてくる。
チェレスタが鳴っているあたりはあの世への入り口が開いているみたいじゃない?彼岸花がいっぱい咲いてそうな・・
最後は1点に収束して消える。
一見、この日の私の気分みたい・・・どこまで行っても満たされないのだ・・みたいな。
でもこの楽章数学的に設計されてたりもするらしい。
おっさんのナメクジみたいな心とは次元が違うんだ。
しかしこの動画を作った人も何を考えてこんな映像をあてたんだろうか?
もうちょっと下ると

早雲山駅というケーブルカーとロープウェイの乗換駅。
ロープウエイは設備更新で建物も新しくなったみたいだけどケーブルカーを含むあの駅舎は昭和すぎ。タイルの装飾・・
昭和なトイレ健在。
よくわかんないけど石原裕次郎とかの白黒映画の頃みたいな印象。

この鏡に手書きの広告もなんか懐かしいような・・
乗り換えの人がたくさん。
あんまり見ないようにしたりして。
ケーブルカーというと麓駅と山領駅みたいなのが多いけれどここは中間にも駅を持っている。

そんな小駅に移動してみてると結構利用者もいるみたいだ。
いい歳をしたおっさんがケーブルカーを見物して喜ぶ。
幼いころこのあたりへ来た記憶が。
当時は踏切があって線路を渡れたと思う。
踏板の間をケーブルがゴーっとかいって走っていて・・

今はあんなの危険すぎてゆるされないだろう。引っかかって持ってかれちゃった人とかいなかったのかな?
鉄道好き少年だったから強烈に印象付けられたこの場所の記憶は忘れない。
この後強羅の駅前に降りると人だらけだ。
嬉しそうな若い人の笑顔・・そういうのが平気というか楽しいと思うときもあった気がするんだけど。でもこの日はダメな日。
カフェらしきものも見つけたけれどぼったくり臭やがっかり予感がすごいのでやめる。
もう一度山を登り

峠を越えてロープウェイが芦ノ湖へ降りる終着駅。
ここからさらに峠を越え山を下りて富士山までの延長計画みたいなものがあったことを何かの本で昔読んだ。
実現していたとして、存続していたかどうか・・
ここも幼い時に来た記憶があり目に焼き付いていた。
初めて自分の車を持ち、地元付近に帰って来た時その光景を目にしてちょっと泣きそうになった。
最近設備更新で建物も建て替えられ、もう年月もたちすぎて長年焼き付いていたという記憶があるだけになってきたけど。
そして嫁さんと初めて会った日に走ってきたのもここだ。
考えてみれば思い出の場所だ。
駅の中の土産物屋をふらついていると

なつかしい、万華鏡だ・・・
40年近く前、この同じ場所で祖母が妹にと万華鏡を買ってあげたんじゃなかったか・・しばらくうちの中に転がっていた。
その妹とももめてはいないがうまくいっているとは全く言えない。何を見ても嫌な話に直結する。
箱の中にいる万華鏡を覗く女の子の写真は多分その当時から変わらないんじゃないか?
彼女は今どこでどうしているだろうか?幸せになっているかな?
孫がいたりするのかな?

幼い子を含む家族が記念撮影したりしていた。
嫁が下がってくのを見れば私も下がるし・・お互いだろう。
しかし今日はあっちを見てもこっちを見ても・・・
この日はカフェも何も諦めて帰宅。
犬と散歩していると近所の子供に子供ができたらしいことを知る。
しばらく嫁と犬の散歩に行く時このルートさけなくちゃ。
世界はバルトークの音楽とこの日の天気みたいに鉛色だ。
書いててこの記事何の内容も救いもないじゃないかなんて思っていたら
またコメントで彼岸花の別名についていろいろ教えていただきました。
どうもネガティブ傾向な・・でも神秘的な名前がたくさんあるんですね。
不思議な花。
人が苦手だけど人恋しいなんて言ってる私はコメントをいただけると
うれしいです。
ありがとう。