ある天使の思い出に

朝から手が猛烈に痒くなり、なんだこれは奇病か?
と思ったけれど蚊がいただけだった。
うちはなんだかいろんな虫が入ってきて同居する家だ。
窓は開けたほうがいいと思うけれどたまに網戸まで開けっ放しになっているのを目撃するのと関係あるかはわからない。
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毎年この時期なのかでっかいクモが家の中を歩いている。昔は害虫だと思ったけれど、いつごろからか虫を食ってくれるんじゃないかと思ってそのまま放っておくことにしている。
多分勘違いだろうけれど、始めは臆病で私を見るとさっと逃げてしまうけれど何度か対面しているうちに状況を理解して澄ましたような対応を見せてくれる・・気がしてる。
何故か、みんなうちの中にいつまでもいなくて最後を悟るのか家の外の見える位置で動かなくなっている。
一度瀕死でひっくり返っているクモを嫁さんが起こしてあげていた。
クモは逃げるでもあばれるでもなく、落ち着いた感じで・・

鈴虫もなんでか知らないが家の中をよく歩いている。こちらは嫁さんが丁寧に捕まえて外へ逃がしてやる。
先日、うちの中で鈴虫がでっかい声で鳴きだした。
なんだそこで頑張っても女の子来ないよ・・
捕まえて出してあげたいけど潜伏場所は洗濯機の下で手が入らない・・
そのまま放っといたら次の日もおんなじ場所で・・・

夜遅く、部屋の隅でガサガサと音がする。
え?ゴキブリ?
コンバット効かねーじゃねーかよ・・なんて思っていると
リリリ!
鈴虫の声が短く響いて消えた・・
あ、そこにもいるの?
あの彼が移動したのかな?
そのまま鳴き続けることもなくそれは一瞬で終わってしまい、自分もそれ以上気にすることもなかった。

次の日、嫁さんがでっかいクモが住んでる場所があるとかなんとか言いだした。
物を動かしたら出てくるんだけど、またそこへ戻って待機しているという・・
どこ?と聞くと指さした場所は
昨夜鈴虫が一瞬鳴いたあたりだ。。
ふと頭をよぎる昨夜のあの短いリリリ!・・・
あの鳴き声、もしかすると最後の一声だったのか?
でっかいクモに羽交い絞めにされて・・悲鳴というか・・
あれは羽をこすって出す音だから人間みたいに喉からぎゃーとか言って出る悲鳴とは違う。
自分がこの世にいたことを示そうという最後の一声だったのか・・
今日は洗濯機の下からは何も聞こえてこない。
そんなことを考えたら泣けてきた。


https://www.youtube.com/watch?v=Sr1mrAbtOZQ
ベルクのヴァイオリン協奏曲
18歳で亡くなった女性にささげられておりスコアにある「ある天使の思い出に」という一文で有名。
ある天使とはマーラーの娘と記憶していたけど違った。マーラーの元嫁と次の人の・・次というかマーラーの嫁が浮気した相手という事で音楽史に名を残している若い彫刻家かなんかじゃないか。まあ誰でもいいよ。
昔この曲に興味を持ち、CDを買ってきて1度か2度聴きいたけれどそれっきりだった。
一度聞いてすぐに理解でき好きになった曲というのはあんまりない。みんな苦痛な時間を我慢して繰り返し聞いた挙句に中身が見えてきて好きになる。これも何度か聞けば何か見えてきて好きな曲に・・そう思って聴いてみたけれどなかなか厳しい。
ベルクとかヴェーベルンが好きとか言えればかっこよさそうだけどちょっと無理。
ただ彼の作風からするとかなり一般人寄りに分かりやすく聞かせる配慮がされているんだろうという気はする。
2楽章のバッハのコラール・・よりも終結で光が差しているあたりがかなり印象的で忘れられない。

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ハープとクラリネットは相性が良くて重ねると神秘的な世界が見えたりするんだけれど、出だしのこの世界はマーラーの9番にもあったあの世界のをふっと思い出させ・・
ヴァイオリンソロは解放弦を順番に鳴らすところから始める。
元々諸刃の剣みたいなところのある解放弦の音、Youtubeでも聴いてみたある演奏はここをわざとたどたどしく・・・もっと言えばわざとへたくそに弾いている気がして・・理由もわからないのでその時はちょっと驚いた。

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2楽章の冒頭
ヴァイオリン協奏曲なのにティンパニがベルリオーズみたいになってた。
みたいなネタを書きながら聴いたけれど、最後まで行ったらそんなのどうでもよくなった。

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知らないけれどそのある天使はヴァイオリンを習っていたりしたんだろうか?
解放弦を順番に鳴らして始まるソロは途中でも解放弦のピッチカートを何度も鳴らして・・・
最後の光の中でもまたそれが聞こえた時、なんとなくあの世の光の中にヴァイオリンを持った幼い女の子の姿を見たような気がした。
全然違うのかもしれないけれど構わない。

最近、音楽が好きだというか音楽を聴くくらいしかすることもない自分なのに楽器の一つもでないことに自分の人生失敗みたいなものを重ね憂鬱になったりしている。あほである。
楽器ができなくても、人に嫌われてもなんとか生きていられるのは素晴らしいことか。
実はこれを書いているときに近所の人がなくなったという知らせを受ける。
もともと気持ちが不安定化していたところにこれを聴いてそこに訃報・・しっかりしねーと。

ベルクはマノンという女性の死に刺激されてこの曲をすごい速さで完成させた。
しかしそれは図らずも彼の最後の作品ということになってしまい・・
というはなしなのだけど、ここで目を引くのは彼に死を呼ぶ病となった敗血症のきっかけが虫刺されだったという話。
蚊が媒介してとかよく聞くし、昔はありふれた話だったんでしょう。
いまでもそれに苦しんでいるところもあるかもしれない。
現代の私には意外なことだけれど、昔は虫刺され一つで突然の死が訪れる・・そんな厳しい時代をみんな生きていたんだ・・
そんな中書かれた音楽作品を現代のへらへら感で聴いてていいんだろうか?
いいに決まってるけどさ。
私なんか、昔だったらとっくに死んでたのかもしれない。
生きていられるという事を大事にしなくちゃ。
今朝蚊に刺されたことを思い出しながら・・


Tag:音楽を聴く話  Trackback:0 comment:2 

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どうも発達性協調運動障害(DCD)じゃないかと思います。
クラシック音楽が好きです。

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