ラーメンと花と電車と人生

この日、いい歳して気分はしょげ気味。
若干投げやりな頭の中にある中華料理屋が浮かんだ。
ちょっと遠くわざわざ行くのはどうかというくらいの距離。
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でもこの現場事務所みたいなプレハブの外観が面白いと思って。
駐車場には結構な車。美味しいってことでしょうか?
同じ駐車場には仮設トイレみたいなものが常設化されていてまたちょっとそれっぽい。
そういえば子供のころバスの廃車体を使ったバスラーメンというのがあって何だか知らないけどすごく行ってみたかったのを思い出した。行こうと思ったって無くなっちゃえばいけないよな。
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入るとたくさんいたお客さんはちょうど終わって出ていくようなところ。
内装はきれいに仕上げてあって仮設な感じじゃない。お店の人も普通にいい感じ。
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おいしそうじゃない。
半チャーハンにしないと多すぎるかな?と思ったけどちょうどいいくらい。
単品だとちょっと足りないかな。
変わったことなんか何にもしてないおいしいラーメンとチャーハン。
でもこれがいいよ。
流行りの新興勢力的なラーメン屋にもいろいろいってみたけど何時頃からかギトギト油とか強い味でみたいなのは味以前に体が逃げるようになっちゃった。あと15年早く出てきてくれれば楽しかったんだろうと思うけどなぁ。
今はこんな素朴なラーメンのがいいよ。
これも美味しいけどスープ濃いなもう少し薄味でもいいけどとか思っちゃう俺は歳食ったというか高血圧。
ラーメンなんかでも食いたいと思ったらその時食っとかないとだめなのね。
やりたいことが今あるのなら、けなされようが邪魔されようがやっとかないともうその人生にそれはないのかも。
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さほど遠くないところには私鉄の無人駅
あんなのいなかったよな新しい車両入れたのか。
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終着駅ですね。
あの家の人怖くないのかな?そういうこと言っちゃいけないのか。
あの先へ延伸する計画もあったけれど資金難でとん挫したらしい。
計画というかうわさ通り沼津まで到達していたらどうなっていたかなぁ・・と思うけれど資金難というのは客観的にみて投資しても絶対うまくいかないよそんなのということなんでしょう?
でもその架空の展開を想像し始めると面白くて止まらなくなる。
鉄道の開通でで沿線は急速に宅地化し通学需要で・・とか。
クラシック音楽にも素晴らしい作品なのに未完のままになってしまった曲があって、ああでもないこうでもないと補完していくことはとても楽しく、でもはがゆく、時にむなしく寂しい、でもやめられなくなったり。

経営的にはかなり厳しいようだけれど本数はそこそこあって、ボーっとしてる間にも何本かの電車がやってくる。
18切符のシーズンなのかそれ系な人が降りてきてでっかいカメラで駅の写真を撮って戻ってゆく。
のんびり走ってゆく電車。
時折、
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新幹線が轟音を立てて、でも滑らかにスーっと通り過ぎてゆく。
同じ鉄道なのに規模もスピードも何もかも全然違うのね。
違っていいしみんな同じだったらかえっておかしいですよね。

蔑むような顔でこれ見よがしに
同じ歳なのになんでこうもちがうのか?
そう言われて悔しさから奮起し登ってゆくみたいなのが正しいストーリーなんだろうけど。
嫌な人だなくらいにしか思えなかったのでこんなになちゃった。

この日、久しぶりになんで自分だけできないの?とか言っちゃってたりして。
で、なんとなく頭の中にはブルックナーの8番。
苦難を暗示するような暗い開始から、長い時間を経てこの
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輝かしい終結へ・・

ブルックナーの音楽というのはベートーヴェンやブラームス、マーラーみたいに人間個人の強い意志によって苦難を乗り越え苦悩を打ち破り・・という音楽ではないと思う。
この世の自然も、人間も、人の歩みや死、いいことも悪いこともみんなそのまま受け止め描き出し、自分の感じるこの世のありようを神に報告する。
そういう音楽だと思う。
とはいえ、全楽章のテーマが集まりこの世の全てが神の光に照らされたようなあの奇跡のコーダを聴くと、俺だってまだまだ頑張って生きてやるとかなんとか思いますよ。
ブルックナーは度重なる演奏拒否や音楽史残る初演の大失敗なども結構有名。
大失敗な頃もう結構な年齢だったりして、でもめげずに奮起し続けそこから不動の高みみたいなところまで登っていった。
その印象とこの曲も重なって見えたのかなぁこの時は。

この次の9番というのも深く重い内容を持った他の誰にも書けないような音楽なのであるけれど、それだけに作者は書きかけたフィナーレに満足できず足踏みをしており、完成を見る前に亡くなってしまった。
だから8番は最終結論を聴くことのできる彼の最後の交響曲。
8番はというか8番も、初演を託そうとした指揮者に酷評されて精神的にかなりめげてしまった話が有名。そういうのを読んでると何だかその酷評した人がとても悪い奴のように読めることがあるけどそれは間違いだと思う。
それでよしとされてたら数度演奏されてそれっきりお蔵入りだったかもしれない。

今じゃブルックナーはオタクみたいなファンがたくさんいて版の問題や演奏論なんか始まれば止まらない状況だけど、いろんな本を読んでるとどうも50年くらい前までは日本じゃマイナーな作曲家だったみたいだ。
現在普通に演奏される改訂された稿はまた異なる版が両方生きていたりという問題があるのもこの人らしいのか。大改訂によって、開始から終結へ向けた大きな流れを妨げるような動きを排除し、ストーリー的なものを聴き手にわかりやすく感じさせるような配慮がなされいる。そう考えると個人的にハース版は作者の意図を帳消しにしている部分がある気もする。でもノヴァーク版でもどっちでもいいよ。両方聴きゃいいんだよ。
ダメだよと言われた初稿は流れよりも形式、構造を優先していたり、オルガン的な極端な場面転換などの神への奉納音楽みたいな要素を強く持ったいつものブルックナーの音楽だった。改訂稿では暗く沈んでゆくことになった第1楽章のおしまいにとってつけたような輝かしいコーダがあることなんかは有名でしょう。今じゃいろんな音源が聴けるんだろうし、ネット上に楽譜もあった。

初稿を問題視した人の指摘には構造的な問題もあっただろうけど、管弦楽法の扱いに対してこんなの弾けるわけねーだろみたいなのもあったと思う。
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初稿のスコアを見てて笑うのがこのコントラバス。
ストラヴィンスキーのスコアにこういうのがあっても驚かないというかやっぱり驚きそうだけど、ブルックナーのこの音楽はこんなのが出てくるような世界じゃないと思う。
いつも現場の最前線にいたマーラーのスコアは全員ソリストみたいだけどこんなのは絶対に出てこない。
あえて狙った3番の絞るような高い音とか、4番でハ音記号というのはあるけれど。


https://www.youtube.com/watch?v=ufqC1LCpHV4
昔、ブーレーズのブル8が出るとか聞いたときはネタかと思いました。
でも買って聞いてみたら意外に普通というかちゃんとした演奏で驚いた。作曲家だからハース版は拒絶するのかと思ったのにハース版で驚いた。
先程久しぶりに聴いてみると・・これ見よがしにさらっと終わっちゃうんだろうと思った終結で思い切りテンポを落としてるのでまた驚いた・・確かに楽譜にもリタルダンドって書いてあるけどそれ以上ですよね。
ああ、この人この音楽が好きなんだなぁ・・

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いいね!お花。
花の名前もわかんないけど・・

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心がしょげちゃってるようなときはほんとに・・
人の笑顔に縁もないけど、
花の笑顔がしみるね。

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貨物で食ってたこの鉄道は貨物取扱全面廃止でかなり厳しく、補助金打ち切られたら終わりという話のようだ。
でも、中古の中古とは言え新車も入ったんたんだし、
花壇に綺麗なお花を世話してくれる人たちがいるみたい。
こういう花って人が手間や熱意や愛情を入れてることの証だもんね。
できるだけ長くこの鉄道ががんばれますように。

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新しいテプラみたいなので4ノッチ投入厳禁
電流食いすぎて変電所で遮断機が落ちちゃうからとか?

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のどかな時間。
聞こえてくる踏切の警報音は電子音とかじゃなくて回転するハンマーがゴングをたたくようなチンチンチンという音。
私のレールが奇跡のコーダへつながっているとは思えないけれど、
レールがあるんなら、ゆっくりでも走ればいいでしょ。
レールもないかもしれないけど自転車と同じで進んでれば倒れないだろう。
小さな花くらい見ることができるかもしれないじゃない。
細々過ぎて厳しい状況かもしれないけどまだ廃止しないでください。


Tag:ブルックナー  Trackback:0 comment:8 

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Author:unagi
誰にも迎合できません
2022年11月からピアノ習い始めました

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