海辺にて

飯でも食いに行こうと海辺まで来た。
いつもは迂回する有料のトンネルに小銭を払えば、意外に近いのね。

海の前にこんな洋風の建物。
地図上の表記はカフェ

海の見える席。

実際は和食系魚料理の店。
嫁さんはそういうの嫌いだから海辺のカフェにいく?くらいから始めないと一生来れなそうだ。
この先に前から嫁さんが行きたがっているカフェがあり、そこへ行こうという餌に騙されたふりをして食いついてくれた。
写真だとちょっと貧弱に見えるのはこの手の店にありがちな豪華な定食とかじゃなくて安価なランチだから。提示された物の中から二品選べますよというもの。これでいいよ。
嫁さんはカレイの煮つけと・・多分魚苦手な人をフォローしてくれてるチキンカツ。
小鉢バイキングとかいって中央のテーブルに置かれたちょっとしたものが取り放題だったのでなますをやたらに食った。
嫁さんは甘い豆がヒットしたらしくそればっかずっと食ってた。

メジカマの塩焼きと刺身。
メジカマって何なのかもわからないまま頼んじゃたけど塩焼き美味しかったよ。
ずっと海鮮丼にすればよかったかなぁなんて思ってたけど塩焼きにしてよかった。
海辺の店に行けば驚くほどうまい刺身が・・・という幻想に縛られるのはもうそろそろいいにしようか。
もちろん刺身も普通においしかったよ。
カレイの煮つけも私の口へ・・
この先次の集落まで絶壁に沿うような山中の細道を行く。
えこんなところに?というところにある嫁さんが行きたかったカフェは閉鎖中。
看板なんかが無残に打ち捨てられていてああもうやらないのかもなと思ったけれど、Twitterをみると休止中ということのようだ。
どうするか迷ったけれど、この先の港町に昭和な喫茶店があるらしいのを発見、このまま進む。
天気は悪いけれど人の手が届かない山中に白い桜の花がパッチワークみたいに炸裂してなかなかの景色となっていた。
見とれていたい景色はあっても道が狭く後続、対向車もぶっ飛ばしてくるので車を止める気にならないままだらだらと進む。

しばらく進めば戸田。
天橋立みたいなのが防波堤になって、天然のいい港になってるのね。

強い波の入ってこない静かな海。
学生の頃、休みの日にスクーターや自転車で海まで行った。
行って何をするわけでもない。
人なんか絶対来ないような防波堤の上にポータブルCDPを持って行き聴きながらボーっとするだけ。
https://www.youtube.com/watch?v=8liF-5JYnSg
亜麻色の髪の乙女。これ単体はいい曲だねでいいんだけど、あの前奏曲集第1巻に収まっているところが不思議といえば不思議。
多分そこでこの曲も聴いたんだろう、静かな海を見たらこの曲とあの時の景色が頭の中に広がった。
休みの日だけれど、誰とも会わないし何にもしないから何にも得られないし成長もしない。
あなた人生を無駄に過ごしていますねというやつだ。
私の場合その時はそれすらわからず、自分でそう思うまでまだ20年以上が必要だった。
まあいいよ。
あれからここまで生きてきただけでも大したもんだ。
ありがとう。
よかった。
私はフラット5個の変ニ長調にパステルカラーみたいな色のイメージがあるのだけど、

このフラット6つの変ト長調には、ビスケットの上に甘いチョコレートがベターっと塗られているようなイメージを持っています。
この曲を聴きながら想像すると頭の中に出てくる乙女はそんな色の髪を持っているけれど多分それは亜麻色の髪じゃないと思う。

いいねこの感じ。
うしろの深海魚料理も気になるけど。

入るとまあ予想に乗ったような店内だなぁ
と思ったらいきなりカウンターの中からお水お願いしまーすの声。
コップを渡され、そこにある冷水器で勝手に入れてくれという・・
いいねぇ・・逆にいいねえ・・

値段も昭和でいいね。。
モカパフェにしようか。

休みの日には観光客が来たりもするのかもしれないけれど平日は近所の人が常連さんなんでしょうね。
それ系の人がカウンターでママと楽しそうだった。
そのカウンター内から
ヨーグルトはいれないほうがいいですかー?
えー?
モカパフェにヨーグルト?と思ったけど入れてくれるのなら何でも入れてよと思いでっかい声で
だいじょうぶでーす。
できましたぁーみたいな声がかかるので自分で取りに行く。

いいね、全面生クリームにスプレー。
この銀色のスプレーなのか茶色の粉末なのかわからないけれど、お寺のお香みたいな味がした。
素朴でおいしかったよ。
量もちょうどいいし。
コーヒーゼリーがちょっと入っていたけれど全体的にはヨーグルトと生クリームの白い世界な印象で、モカパフェだったかは疑問が残る。
でもいいよ、そこがまたいいよ。
これはもう、食べ終わった食器も自分で下げないとねと思い持ってく。
笑顔のママが
おいしかった?
突然すぎておいしかったぁ・・しか言えなかった。
そこですかさず会話が弾むような人なら人生無駄にしないんでしょ?
ほんとはカウンターに座ってなんか話をしたりすると楽しいのかもね。
最後にお釣りを小銭でぴったり渡したら10円負けてくれた。
そんなやり取りで十分。
いいね・・昔どこかにあったようなお店に今行けた気がする。
そして、またいい休みの午後になったと思った。