戻ったことともう戻らないこと

今年もまたチューリップが咲き始めて。
小さな花には見覚えがあり、また会えたねなんて思ったり。
脱線転覆し炎上に至っていた楽器のレッスン、今回やっとなんとかレール上に戻れたかもしれないと感じて帰ってこれた。
まだ一部の車輪がレールから落ちていてガタガタなのでまた転げ落ちるかもしれないし、まあそれが私だろう。
とはいえ、微速ながら前に向けて進んでいるのかもしれないとも思えば少し明るい気持ちになってくる。
傍からどう見えるかは関係ない。
ありがとうこの世界。
ありがとう私。
散歩の途中。

息が上がりすぎちゃってぜーぜー言ってるから近道して帰ろうよと言ってみると、何いってんのいつも通りいきますよ!と頑張ってみせたりして。
わかったからいったん帰ってお花見行こうよ。
今までは、嫁さんに犬とどっか行く?っと話しかけた瞬間に状況を察知し
いっきますよー!はいいきますよ!まだですか?
と暴れまわったもんだけれどこの日はそれが全然ないのが気になった。

少し高いところにあるからか、花はまだ先始め。
犬はやっぱり去年と違う。
暑さのせいでもない。

あんなに走り回りたくて仕方がなかったのに、

ちょっとしんどそうだ。
誰でも老いてはいくんだよね。
https://www.youtube.com/watch?v=yYurA2HsIx8
ずっと当たり前にあると思った世界は
無くなってしまったらもう戻らないのね。
いっしょにでかけた散歩が楽しすぎて山中を何時間も歩いてしまい、帰ったら嫁さんに怒られた・・・
もうあれはできないのか。
そう思うと寂しいような気がしてくるけれどまだよろよろで歩けなくなっちゃったわけでもないんだから。
いろんな雑多な記憶が昨日のことのように出てくるけどもうそこへ戻ることはない。
行けば戻る気がして記憶の場所に行ってみたこともあったけど今思えばいかれてるな。
古い商店街で公衆電話のボタンをガチャガチャと一心不乱に乱打している中年女性を見かけた。
あたりを小一時間散策して戻ってきてもまだやっている。
頭のいっちゃった人かと思ったけれどふと気が付いた。
あれ昔の女子高生がポケベルにメッセージ送ってるシーンでしょ?
あの人も30年前の忘れられない世界をとりもどしたい人なんでしょ?
もう戻りたいやり直したいみたいなのは消えた。
やり直すなら生まれる前まで戻らないと。でもそれ俺じゃない。
それはいいんだけれど未来から見た今は戻りたい過去なのかもしれず、
今ここにいられることを最大限に生かしたいような気はする。
気がしているんだけれどイマイチそれができている気もしないし、どうすべきかもわからない。
分かったころには手遅れというのがいつもの形ではあるけれど、
少しでも差を縮められるように。

毎年、桜もチューリップも花が落ちるのを見て妙に寂しい気持ちになったりする。
でもまた来年があるんだからいいじゃないかなんて思ったりもする。
人は終わったら終わり・・
ちがうか樹だって寿命を意識し悔いの無いよう必死で生きてんのかもしれない。
これを書いている今、窓の外で鳥がいろいろ歌ってるんですよね。
それだけでも生きてた甲斐はあると思うけどね。