馬鹿とピアノ

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仕事の都合で急に時間が取れ、楽器の練習がしたいと思った。
いつもの練習場もいいけどたまには違うところにいってみようよ。
いつか見かけた音楽教室はピアノも置いてある部屋を貸してくれるんじゃなかったっけ?
電話を入れると空いているようなので行ってみた。
入るとオシャレなカフェみたいな空間の奥に受付。
案内してくれたのは受付のすぐ前の小部屋。
失敗した!
何時も通っているところは防音でしかも他からか離れた位置にあるため中でどんなにあほな音を出していても誰にも聞こえない安心感がある。
ここは薄皮一枚みたいな軽いドアしかなく、全部駄々洩れだ・・
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そもそもそんなことが気になるような人間は楽器とか音楽とかをやる資質も適性もないのかもしれない。
だけどそんな俺が俺なんだから仕方がない。
負けてちゃいけない・・ロングトーンしよう。
始めると外で紙をめくるような微妙な音が聞こえ・・お前の恥さらしな音はみんな外へ聞こえてるんだと自分の頭が繰り返す。
そこを何とか押しのけしばらく続けていると、うるせーほっとけよくらいな気になっては来る。
せっかくだからピアノも弾いてこうよ。
幼いころから自分から最も遠いところにあるものだと思い込んでいたピアノ。
今ならわかるけれどもし奇跡的にピアノを習いに行ったりしたら、すぐにつぶれてピアノどころか音楽全体を遠ざけていただろう。
アルバイトをして買った64鍵のシンセサイザーを経て、電子ピアノを買ったりしたけれど結局自己満足の見よう見まねで終わってしまったのか・・
まともに弾ける曲があまりにも少ないので自分に弾ける曲を自分で作った。
それももう暫く何にも弾いてないのでつっかえつっかえ・・・いちいち外の気配を気にしながら。
よせばいいのに音楽をやっている人の中へ入っていったところ元々コンプレックスの塊の私はさらに委縮してしまい、人前で音を出したりピアノに触れていい人間ではないという事に自分の中でなってしまっているようだ。
やってると楽しくなってき・・・こんどは何人かの笑い声が聞こえる。
当たり前だけど俺を笑っているわけじゃない。
無視して弾き続け・・
またでっかい声が聞こえ・・
30分くらいは弾いたのか・・中途半端なところでやめ。


https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=nqEk73LvnzQ
昔この曲が大好きで自分で弾こうとした。
でも途中で断念。
弾けたと思ってる部分も弾けちゃいないんだろう。
そんなのばっかりだ。
そんなことよりこの曲の素晴らしいところは、
1人部屋の中で夢を語っているような中間部を経て冷たい雨の降るような現実に引き戻されてからの歌。
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未来に向け何か強い決意を表明して終わっていく・・


またロングトーンに戻ると、さっきつかんだと思ったものはもう消えてなくなって最初よりひどい状態が固着していた。
やってることが的外れなんだろう。
煮え切らない感じではあるけれど、手には鍵盤の感触が残った。
久しぶりにグランドピアノを弾いたことは事実。
それでいいか。
次はレッスンが入ってると言われていたので少し早めにしまって出ると、自分が子供みたいな若いお母さんが小さな子を連れてやってきた。あの子がレッスンを受ける子なのかな?
二人ともいい笑顔。きっと素敵な人生が待っているんだろうね。

音楽を聴くことは、片思いみたいなもんで好きだと言ったもん勝ちだ。
だけど音楽をやるという事はちがう。ここはお前なんかが来るところじゃないと締め出されているような気もし・・うるせー馬鹿。
次の日の朝。
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家で一人へんてこりんな音を出している間、この人がそばに来て寝そべっててくれる。何にも言ってくれない代わりに、もうよしなさいとか言わない。
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梅雨なのに空がこんなに青かった。
いつか、こんな心になってから死にたい。

Tag:ショパン  Trackback:0 comment:4 

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結構さみしいけど結構楽しいよ。
クラシック音楽が好きです。

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