時間トンネル

雨の合間、峠のトンネルへ向かう国道をそれて旧道に入る。
雨に濡れた森は鮮やかとは違うけど
奇麗といえば奇麗。
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窓を開ければ沢の音が聞こえる。
雨に濡れた木々と天気のせいだろう鬱蒼としているともいえ、1人で歩いてとかだったら結構怖いかも。
先日はこの先路面の状況も悪く工事をしてるようだったので引き返した。
そこはしっかり治っているようで今日はどんどん進める。
でももう雨水が未舗装の路面を削って結構な溝を作っていた。
未舗装だとすぐこうなるのね・・水ってすごいな。
ハマると嫌だなとか思いそこを注視しながら・・
水は低いところに集まって砂を削る。
削られて低くなったところにはさらに水が集まって大きく砂を削ってゆく。
削られ谷となったところには・・
人はみんな一緒なはずとかいうけれど嘘だ。
弱いものは集中して削り取られ、そうでないものを守る役目を負っていると思う。
いまさら強くなったり高くなるのは難しいけれどいらんことに対して図々し・・
あれ、今向こうから歩いてきてた人は?
は?
突然嫁さん何言ってんの?
人が歩いてきてたよね?
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誰も来ねーよこんな天気のこんな所。
歩いてたよねえ?
・・・・・?・・下の駐車場に車はなかったし、バスで・・こんな天気で‥いやその前に人影なんてなかったから・・
帽子かぶってた人が・・
・・・・・
変なことを考えちゃいけない。
気を奮い立たせてしっかり前を向いて・・
ねえ歩いてたよねぇ!
もいいから・・
もうちょっと行くと目的地に到着。
かなり山深い。
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明治38年開通の天城トンネ・・
あの工事看板もうちょっと外したとこに置けばいいのに・・
まいいか。
晴れていればきっと気落ちのいい場所なんだろうここも。
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今はちょっと薄気味悪いというか、一人できたら確かに誰かを見ちゃいそうな気がする。
昔きいた行商の帰りに日の暮れたここをバイクで走ると森の中でなんか色のついた光が燃えていてるのをみたとかいう話を思い出したりして。
そりゃあ、こんなとこじゃそんなもんも出そうだな。

https://www.youtube.com/watch?v=qPVVnv1j4JM
なんか音量低すぎだけど・・
静まり返った自然、でも精霊たちは・・みたいな。
トーンクラスターみたいなのが出てくる中間部も面白いけれど美しくも不気味な主部、
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主役はピアノのほかに、この人の曲にはいつも出てくるグリッサンドするペダルティンパニのドロドロ世界でしょう。
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前来たときも照明あったっけ?
なかなかきれいじゃない。
バルトークは超絶技巧系な優れたピアニストでもあった。
若いころコンクールで1位を逃したが、その時の1位がバックハウス(2つ前の記事でベートヴェンを弾いている人)で・・という話が有名。それがちょうど1905年、明治38年だった。
自作自演の録音が残る作曲家と老いていたとはいえステレオ録音に間に合ったピアニスト、近代的、現代的な音楽とこの古めかしい石積みのトンネルポータル。
どうも音楽史上の出来事と日本の歴史には時差を感じるというか・・50年くらいずれているような印象があるというか・・
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振り向けば過去。
風が吹き抜けていた。
地下水の漏水で結構水滴が降ってくる。
トンネルの中まで雨が降ったみたいに。
二人しかいないのに足音が三人分聞こえたりとかそういうの来たらどうしようか・・
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始め妙な雰囲気に緊張していたことも忘れるくらいの距離感で結構歩いてきた。
入り口付近に誰か車で来たようで、トンネル自体が拡声器みたいになり些細な音や何だかぶつぶつ言ってる声がここまでよく聞こえてくる。
結構歩いて抜け出た先は別に何か面白いところなわけでもなかった。
そんな言い方ないか。

また長いトンネルを歩いて戻る。
声を出すと反響するのが面白く、馬鹿みたいにでっかい声を伸ばしてみたりして。
何年やっても私には腹式呼吸というのが実感的に理解できない。
理解しようとしていないのかもしれない。
偶然そうなったときに楽器の音が部屋に反響する具合うが全然違うと思った事はある。
あるけれどコントロールすることは・・いいかそれは今は。
この長いトンネルを抜けると、そういうことも含めて今までと違う私に代わっているんじゃないか・・
と思ったけれどそんな訳もなかった。
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ここへ来たのはもしかするともう15年ぶりくらい。
嫁さんになる前の嫁さんと一緒に。
明るく晴れた日で、休日だから人も結構いたような・・・
あれから自分が成長したとかいう実感もない。
でも思い出す価値のある思い出をくれてありがとう。
次に来るのはまた15年後かな?
時間の価値がどんどん変化しているから次の15年はあっという間に来るだろう。
生きて来られるだろうか?なんて書くとほんとに病気を呼んだりするからそろそろ言葉も気を付けないとね。
今とは違う、何かを持った私でここに来れますように。

Tag:バルトーク  Trackback:0 comment:4 

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