あんなところにこんなもんが

最近何でも古民家って呼んじゃうのには抵抗を感じるけれど・・
建てられたのは70年代という感じでしょうか。子供の頃通学路沿いによくみたこんな家も、最近は庭の大事な木々ごと潰されはがされ庭というより全面駐車場の今風の家に建て替えられてゆく・・
もう子供はとっくに独立してよその土地に行き、よその子がその土地を買って新しい生活を・・時代の入れ替わりみたいなものを見る様な・・
そういう意味では古民家か。
私個人にとってだけど、この民家カフェの最大の特徴は家からも勤務先からもしょっちゅう通うスーパーからも歩いていけるような距離にあるという事。
このあたりは観光とかおしゃれな店とかそういうの不毛地帯なはず。そこに素敵なカフェが存在するんだとするとものすごい違和感を感じそのこと自体が面白い。
引き戸を開けると普通に他人の家の玄関みたいなのが・・当たり前か。
呼び鈴を押してくれと書いてあるから押してみると人が出てきて丁寧に案内してくれた。

古民家とか現役民家利用なお店も結構行ったけれど、畳の上にテーブルとイスってのが妙に浮いちゃって進駐軍に接収されたみたいになっちゃってることがあったりするんだよね。
でもここはそんなことのない一つの世界が出来上がってた。変なもんを置いて見せるとか飾り付けるとかそういう事じゃないんだよね。
や、やるな。

いろんな紅茶もよさそうだったけれど
和パフェ。
抹茶アイスなんて年寄の食うもんだとか言って拒絶していたけれど、おいしいと思うようになった。
最近の新築住宅には畳の部屋なんかないんでしょう?
そこにみる若いお父さんもお母さんも畳なんか知らずにフローリングで育った世代かもしれない。
子供のころ通学路に畳屋があった。はみ出たイグサをバサッと切り落としていくのが面白く・・
いいから帰れ!なんて怒られたりして。
竹細工職人とかもいたもんね考えてみれば。板の間に胡坐をかいて竹でかごを編んで・・

黄な粉がふってあるのね。
黄な粉大好きな嫁さん、むせてた。
最初に見た時はなんか小さいなとか思っちゃったけれど、食べれば満足。
むしろこのくらいの量がちょうどいいのかも、
安価な価格と合わせていい感じ。
BGMはよくあるような流行歌をジャズにしたようなの・・スピーカーどこだ?
見つけたそれはケーブルも何もない小さな箱がWi-Fiかなんかで鳴るような奴で今風だった。
トイレに行ってみるとそこ専用のBGMが流れて特殊空間みたいな雰囲気になってた。ただそれだけのことだけど、沢山ある同種の店のいくつかを大きく引き離しているような気もする。
https://www.youtube.com/watch?v=MUCJD_Ani3A
むかし何となく聴いてたラヴェルのヴァイオリンソナタ。
2楽章にジャズが出てくるのとは別なこちらは生前出版されなかったから遺作だそうだ。
ぼーっと聴いてたらあれなんかこれすごくいい曲じゃない。
知ってるつもりのものでも、はっと再発見というか持ってる深みや良さに気付くことがあるのね。
この世に生きる意味の一つは発見を重ねてゆくことだ。
まだ生きてていいみたいだ。

なんとなくあーこれいいなーと思ったりして。
飲み食いにはちょっとあれだけど、外の景色を遠くに見つつ何か読むとか書くとか・・
窓の外には見慣れた街並み。だけどこの角度から見ることはあんまりないからちょっとだけ新鮮。
向かいの小道は小学校に入って初めての遠足で歩いた道だ。通るたびにそんなことを思い出したのももうずいぶん昔となって、思い出自体が消えかかってる。
今の会社に入ってもう20年。毎朝同じ時間に同じ所を通るから誰だか知らないけれど毎日同じ顔が同じ所を歩いているのを見る。
毎日見かけたはずの人たち、ふと気づくと見かけないのね。
なんでか知らないけどいくつかの顔が頭に浮かんだりして。
あのひとたちいまどうしてんのかな?
気が付けば結構な時間がたって、本人も驚きの今があったりしてるのかな。
主に接客してくれたのは男性だったけれど夫婦なのかな、最後に奥さんらしき人が玄関まで笑顔で見送ってくれたりしてお店の印象はすごくよかった。
ランチとか、また来てみようと思う。

店の向かいにはそこそこ大きな川。
富士山の溶岩流が今でも川底を埋め尽くして・・子供のころから見てたからそういうもんだと思っていたけれど考えてみるとかなり特殊な景色なんですねこれ。
アップで見れば美しい渓流がそばにあるように見えたりするかな?
でも実際全然そんなイメージじゃない。
いつもの、あのあたり。