発芽玄米と敵意

畑のブロッコリーは跡形もなく消えていた。
富士山には傘雲。言い伝え通りこのあと天気はどんどん下っていった。
地図を見てるとまた店なんかあるわけないようなところに店があるのでいってみる。
脇道みたいなのがあるはずなのに見つけられずに何度か通り過ぎ、工場の敷地にしか見えない駐車場に小さな看板を見つけた。
その奥。

いいねこの感じ。
単管で組んだような建物とか・・
子供の頃に土建屋の土場を見つけると訳もなく入り込んだのを思いだし・・
奥の・・あれかな?

あ-あった。
いいねこのなんていうか現場事務所みたいな・・
あとでレビューみたらログハウス風の外観と書いている人がいた。きっといい人。

あーでも綺麗でおしゃれじゃない。
時間も時間だけど・・入るとまた笑顔で迎い入れてもらえた。
ここは陶芸とか家具とか作家に場所を貸すみたいな何かの一部なのかな?
隣ではのこぎりやハンマーの音。
そういうのは気にならないというか少しも嫌じゃない。
メインをいくつかの中から選べるランチの

白身魚のネギソースがけ。
こういう小鉢がいっぱい系は食ってて幸せな気分になりますね。
発芽玄米のご飯はお替りできますよ・・
えっ発芽?
発芽玄米なんて普段聞かないから何かなと思って調べたら
なんかのテストで怒り・敵意・鬱を示す数値をを低減させることが確認され・・
なんだそれ毎日食おうかなそれじゃ。
心の中に未処理なまま放置された不満や不安や後悔みたいなものが時々等価の敵意に変換されて出てくることがある。
リアル誰かにぶつけないようにすると頭がどうでもよくなったはずの過去の人や出来事を持ち出してさあこの人に対して怒りをぶちまけましょうと勝手に段取りをする。
時間が無駄なうえに癌みたいに心の正常な部分まで蝕んじゃうからそういうのだめだと自分に言いつつ気が付けば・・
発芽玄米を毎日食ったら治るんだろうか?
https://www.youtube.com/watch?v=K0Til1yPuKs
マーラーの交響曲第1番の序奏
朝霧が立ち込め遠くから軍隊ラッパが微かに聴こえてくる。霧は段々晴れてきて・・
14歳くらいだったか初めて聴いたときものすごい衝撃を受け何度も何度も聞いたこれ。

クラリネットによる暗示的なファンファーレの余韻を断ち切るオーボエ。
昔指揮者の岩城の本でを読んでいたらウイーンフィルの団員から歴史的にも貴重な話を色々聞けたという事が書いてあり、一つの例としてマーラーの弟子でもあったブルーノ・ワルターは練習中このオーボエについて
春が来て勢いよく花の芽が出たところだ!
といったというのがあった。
読んだ時には若干の違和感を感じたけれど、静というか無みたいなところから生きる喜びの歌が歌われる場が生成されていくプロセスでもあるわけだからここ・・・
あれから何十年もたった。
なんにも成長しない自分も、色々変わった。

嫁さんのは小籠包
お店のお姉さんの話し方に特徴があるのを感じたのでお替りを持ってきてくれた時に話しかけてみる。
すっごい笑顔でわたし台湾出身です!
もう日本に来て結構経つようだ。
人の話だからこんなところに書いていいかわからないけれど、いろんな話ができてちょっと楽しかった。
最近また人間拒否症へ薪をくべるみたいになっちゃってるからちょっとでも笑顔の会話ができるとごちそうをもらったような気になる。
ご飯、素朴でおいしかったよ。
驚きの何とかというんじゃないけれどホッとしていいなぁ・・

始めは女性二人の先客がいた。
一人が岩にしみ込んだ怨念みたいな声でどこかへの批判や恨み言をを繰り返しもう一人が相槌を・・
熊の威嚇じゃないけど動物って互いに言葉がなくても声色だけで意思が通じ合うようにできているんでしょう?
頭の防衛機能みたいなのが過剰に働くとそういうのをいちいち拾っちゃってあそこに熊がいますよ逃げるべきじゃないんですか?みたいな信号が出ちゃうんでしょうね。
こういうのも発芽玄米で治るんだろうか?
機嫌よく出て行った恨み節な人はどうも常連さんみたいだ。
発芽玄米まだ足りないのかな?
いやあれでいいんだよねきっと。
こういうところで毒を吐いて置いていき、またどっかで頑張るとかなんでしょう。
なんにも一つも発芽しない俺もまだ死なずに生きてるよ。