幻の店

表示に導かれこんな山門みたいなのをく車でくぐると農家の庭。
ちょうど出てゆく先客をよけるためいったん突き当りに突っ込むと門で曲がり切れない車がバックしてくる・・止まる気配ないこりゃああれだ・・クラクション鳴らしまくっても止まらずいろんなことが頭に浮かびかけ・・というところでこの時まだ誰だかわかってない人が大声を出してくれたのが効いたのか惨事に至らず。
家からそう遠くなくしょっちゅう通る道沿いだけどまさか店があるとは思ってなかった。
地図上に表示を見つけた時は誰かのいたずらか間違えだと思ってた。

さっきのおばさんが消えていったここはどう見てもお店には見えないけど。
背後はトラクターの入った納屋。
奥は普通に母屋。
なにこれ、ただの農家じゃない。
嫁さんはあの勝手口みたいなところから入るんじゃないかというけど・・いやちがうだろ・・
おかしいなと思って門から外に出てみると

ああった。
入口
よかった。

氷って書いたのが下がってるこれは古井戸。
よくあるネタで作ったのじゃなく多分むかしからの本物。
入口の戸を開け中へ入ればさっきのお母さんが迎えてくれた。
ああなんかいいとこじゃない。

グッピーいっぱいの水槽を眺められる席へ。
グッピーには悲しい思い出が・・は置いといて、メニューが結構いろいろあって迷う。
ここはブルーベリーを作ってる農家のカフェだから、全面ブルーベリー。
色々乗ったケーキセットが超絶お得感。料金をプラスするとコーヒーが生ブルーベリージュースにとあるので折角だから頼んでみると
今だけだからね!
気にしたこともなかったけどブルーベリー今が収穫できる時期の一番最後らしい。
コーヒーは一年中飲めるけどこれは今だけだから・・・
なんだそれ期待が高まるじゃない。

やってきました。
グッピー見ながら・・
盛りだくさんで他所だったら倍くらいの値付けをしてそうな内容なのに安価で笑う。
お砂糖入れてませんからという生ジュースをさっそく

アルミのストローも斬新だけど。
あー、甘い。
甘いの前に素直。
ちょっと渋味を感じ素朴に野山の実の味がする。
でもよくある自然食品系の何だこりゃ味じゃなくて飲みやすくちゃんとおいしい。

アイスの周りに転がってるブルーベリー本体もとても甘くておいしかった。
よくケーキの上に乗っかって出てきますよねこれ。
だけどああいうのいつも馬鹿みたいにすっぱくてなんだこれりゃな印象があったから驚く。
お母さん曰くああいうのは完熟する前にとっちゃうからなんだそうで。
ブルーベリー入りのチーズケーキはもちろんおいしいけどシフォンケーキもうまく焼けてた。

ここも納屋を改装系。元々の梁が埋まってる。
窓の外にブルーベリーの木が見えるかななんてやってるとお母さんが色々話してくれた。
田圃をやめてブルーベリーの木を植えたのはもう20年くらい前
田植え機なんかがいなくなったので空いたところをカフェにしたのはもう9年前だそうだ。
知っている人は知っていて結構お客さんもあるみたいだ。
全然知らなかったよというと
営業日が日曜を除いた週三日だけだから・・
なかなか見えないってことか沈める寺みたいだな
https://www.youtube.com/watch?v=v9zCoKHqXr8
ドビュッシーの沈める寺。
呪われて海底に沈めらた大聖堂が霧の中姿をあらわす。
中からは巨大なオルガンと修道士たちの歌う讃美歌が・・

オルガンが聞こえてくるところ。
左手Cの伸ばしは石造りの大伽藍にあって64フィート管みたいな超絶ペダルを持つオルガンを連想させ・・凡人的にはオクターブで豊かに響かせればと思っちゃうけど単音であることにすごい意味があるんでしょうねこれ。
ドビュッシー自身はオルガンのクラスにも入ったけどすぐ嫌気がさして逃げたかなんかだそうだ。
作風からしてそうかもなぁ・・と。

再び霧の中、ドロドロと海の底へ沈んでゆく・・
このお店は呪われて沈んてる訳じゃなく営業日が週三日なだけ。
帰りがけ、畑も見て行って・・

もうほとんど残ってないから・・を何度も何度も
鈴なりになってんのを見せたくてしょうがない気持ちが伝わってきて微笑ましいというか
残った実を目の前で一つ一つ摘んで
はい、なんてくれたりして。
持って帰って食べたそれも甘くておいしかった。

すぐそこに川が見える。
300年くらい前に開削された人工用水路だ。
この川には幼いころからのいくつかの思い出があるけどどれについて書いてもまた自分はこんな子供時代でという自虐ねたに続けてしまうと思う。
自分のなかに不満があるからですね。
それはいいけど今こんなに話をしてもらっておいしいものを食べて
自虐とは違うひと時。
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