悲劇的交響曲は本当に悲劇的なのか

354.png

マーラーの交響曲第6番は「悲劇的」の愛称で呼ばれています。
如何にもという愛称で文句もないのですが、作曲者本人がそう呼んだわけではないようですね。
考えてみると彼の11曲の交響曲の中で明確に短調のまま終わるのはこの曲だけです。

第4楽章は運命の打撃を受けながら、立ち向かい切り開いていこうという姿が見えるわけですが、再現部は結構健闘していると思うんです。

再現部は第2主題部が先にくるんですよね・・
提示部と展開部の第2主題とそれにまつわる音楽は生きる喜び、この世の美しさ、太陽の光、愛・・みたいなものが絡んで渦巻いて・・という音楽だと思います・・9番で再現されますよね・・いつか書こ・・
オーボエの飄々とした感じで再現部の第2主題部始まりますが、やるぞ-!みたいな明るい雄叫びを挙げて突っ走ってそのまま第1主題部=運命と自分の闘い・・その間第2主題が何度も出てきて加勢してます・・結構ポジティブにやってるんですよね・・

336.png

その後のここ、いろいろ戦ってきたんだけど何か突破して勝利をつかんだー!みたいなところだと思います。
あちこちでたくさん鳴っている下降音型はあのポジティブな第2主題の一部ですよね。
そう思うとこれ、みんなちゃんと聞こえないといけないんですよね。なんか目立つもんだけが目立ってあとあんまり聞こえない演奏がありますよね。

やった!という瞬間のシンバルには複数でみたいな指示があります。
実演だと3人とか4人の打楽器奏者がみんなでシンバルをたたくというか広げるというか・・は視覚的インパクトがものすごく大きいです。
うちのオーディオで聴いてても、音の広がり、音色、大きさなどで普通と違う感は十分伝わりますが、あの視覚的衝撃は・・・
初稿ではここでティンパニやトライアングルも派手に鳴っていました。
トランペットなんかをマスキングしちゃうから外したのかな・・

4小節目のトランペットの3・4番がB管で吹く第2主題音型、バーンスタイン・VPO(88)のは8分音符がバッサリカットされていて聴こえません・・
なんでだろう?



でその後豊かな気持ちと凱旋の行進をへて、
337.png
やっと本当の光が見えてくるわけですよね・・
低音の大きく構えているのは第1主題の一部で、つまり自分ですよね。
平和な日々を手に入れられる・・・・・・・
と思ったら結局死んじゃって悲劇的・・・みたいな内容で、作曲者もそんなことを考えているんだと思いますし「悲劇的」の愛称で何の問題もないんだと思います。普通に考えると。

弦楽器のこういうアルペジオはよく見ますが、沢山の弦楽器の弓の動きがまた視覚から入ってきて何か伝わってくるんですよね。
オーディオじゃ見えません。
これがよく聞こえる録音と、よくわかんない録音があります。なんとなく聞こえたほうが嬉しいけどなー

嫁さんがこの曲が現実になると困るといって泣いたみたいな伝説が大嫌いなのですが・・

マーラーは指揮者、歌劇場の監督みたいなのが本業で、夏休みに作曲みたいな形で生きてきましたが、いよいよ職業演奏家を引退して、作曲業に専念することを考えていたようです。
そのための住居を購入する契約くらいまでしてたんだっけ・・
しかし突然の死によってその道は閉ざされる・・
結局、この曲マーラーそのものなんですね・・・

この曲にマーラーを当てはめると、突然の死によってあるはずだった作品を聴くことができなくなってしまったのは我々にとっても悲劇のように思います。
でも多分、神様は寿命に応じて才能やチャンスを割り振ってると思うんです。
あと10年生きたとしても、最終作品の完成があと10年遅れていただけ・・生涯に作曲される作品の数は同じ・・だと思う・
全然話が脱線してるけど・・

最近自分は、マーラーはこれに限らず結構冷静に客観的な立場で曲を書いていて、言われているほど自分を重ねてはいないんじゃないのか・なんて考えてみたりしているんです。

でもこの曲結果的にマーラーそのものみたになっちゃっいましたね・・

この曲のこの人、悲劇的なんでしょうか・・
普通に考えると一生懸命やってんのに何度も災難に襲われ、やっとというところで命を絶たれてしまうんだからとてもかわいそう・・
悲劇的ということで文句ありません・・
でもね、アンダンテを聴くと幸せな家庭があり、理解、支持してくれる仲間がいます。非常に幸せそうです。
第1楽章の第2主題が妻だとするとものすごく美人で活発で頭がよくて・・そんな人が妻ですよ・・
第1楽章行進曲調の音楽を運命の行進ととらえると怖いですが、困難と闘いバリバリ前進してゆく人の姿だと思うとかなりポジティブですよこの音楽。第2主題部の中に取り込まれてますよね行進曲が・・あれ旦那である本人なんでしょう・・
終楽章では度重なる衝撃をを受けつつも意外にポジティブに進みつつ大きな功績をあげています。
一回目のハンマーなんて悲鳴のような叫びをあげはしますが、すぐ後に花園みたいな音楽が来たり・・意外についてる面や助けてくれる仲間?も持ってたりして・・
最後死んじゃいますが、もともと人間はいつか死ぬんだと思います。
そう考えると、この主人公はかなり充実した人生を送ることができた勝ち組なんじゃないでしょうか?

マーラーのこと悲劇的な運命をたどった人と思わないし。

こんなこと書いてるとおまえ馬鹿かって言われそうですけどね。
いろんな見方があってもいいでしょう?


Tag:マーラー交響曲第6番  comment:0 

Comment

comment form
(編集・削除用):
管理者にだけ表示を許可
プロフィール

unagi

Author:unagi
誰にも迎合できません
2022年11月からピアノ習い始めました

ランキング
にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ シンプルライフへ それでいいの - にほんブログ村
カテゴリ
カレンダー
09 | 2023/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カウンター
.
にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ にほんブログ村 ライフスタイルブログ シンプルライフへ それでいいの - にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村