別れない曲

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日の出のころが一番気温が下がるから・・
夕日だと思うと物悲しい気分になるけれど、朝日だと思えば希望が湧いてきたり・・・
よし頑張ろう。

と書くとこれ朝日みたい?でも夕日かもしれませんよね。
予備知識入ると引っ張られてそれが正しいと思っちゃいますよね的なことが言いたい。
音楽もそう、ちらついている話に引っ張られすぎるのはどうかと思うことがあります。
みんながみんなコピーみたいに同じような感想や考えを並べている曲がある。
模範解答があって、それをなぞらなきゃいけないことになってる。

それとはまた別な曲ですが、ショパンの「別れの曲」というのが超絶有名ですよね。
中学生のころにやたらに聴きました。
本当になん十年かぶりにふと聴きたくなりました。
実際には曲集聴いてると出てくるので聴いてはいたんだろうけどまあいいじゃん。



有名な話ですが「別れの曲」という愛称はずっと後の人が映画と合わせて流したとか何とかでショパンがつけたものではありません。聴けば確かにそんなイメージもあるので特に文句もありませんけどね。
でも作者自体は特に標題的なことは言ってなくて練習曲作品10の3でしかない。
この曲はテクニック的な練習曲でもあるんだろうけど、楽譜からどんなものを読み取って解釈し表現するかみたいな事の練習曲でもあるんでしょう。
ショパンが弟子にこの曲を教えているとき「わが祖国よ!」と叫んだというエピソードが有名です。
あの人ポーランドを離れて帰らなかったから・・でもそれはその時ショパンの中でそういう気持ちが爆発したというだけで、この曲を説明するすべてでは決してないと思う。
もし、君はどう考えるのか?と聞かれた弟子が「祖国を思い・・」なんていったらショパンはすごく怒るんじゃないかと思う。
それは私が言ったことで君の考えではない!
実際どうだったかは知らないし、そんな程度の人は弟子になんかなんないのかもね。

今世の中全般的になにか感じる内容まで模範解答があって外れると不合格みたいに思ってるとこがないでしょうか。
私はひねくれすぎてそう見ちゃうのかもしれないですけどね。
また模範解答通りに感じられる私はすごいし正しい!みたいなのが叫んで回ってたりとかするわけだ。HMVのレビューとか・・


名前からどうしても別れの曲だと思って聴いてしまうけれど、
この曲は別に「別れの曲」なんかじゃないので聴いた人が勝手に感じればいいと思う。
崩れ落ち荒れ狂う中間部を含めて・・確かにどう考えても順風満帆おめでたい!みたいな世界じゃないわけですが、
わかれた恋人を思ってみたいなのは今感じられない。
この微笑みつつ思い出す物悲しいものはなんだろう・・
今の私には、
ちょうどこれを聴きまくっていた13歳くらいの私、あの日から今日までの失われて二度と戻らない日々だなぁ・・
誰でもそうらしいですけど、この人生うまくいったとは少しも思えない。
考えたって仕方ないんだけどもう少しやれたんじゃないかと思ってみたり・・
実は奇跡が起こってやりなおすチャンスを得ました・・けど同じ事なぞっちゃってんのね。
神様も苦笑。
あなんだこれ、まぁいいじゃないそういうの音楽に託したって・・
楽しい思い出が全くないわけじゃないけどそれを思い出しても同じような楽しい気持ちにはもうなれないなぁ。

手持ちの音源の中にこの曲は結構いろいろあって、どのピアニストもこの曲に対しての考えを持っていてそれぞれ全然違う歌を聴かせてくれた。
歌いこむはいいけどいちいち旋律が止まって進まないようなのはあんまり好みじゃない。
別れじゃなくて、飲んでかっこつけてる感じの演奏もあった。
それはそれでへーと思う。今日は乗らないけどこれがしみる日もあるだろう。
普通は荒れ狂う中間部もあれないでそのまま沈んで行っちゃうようなちょっと怖い演奏もあった。
いろいろ面白い。今の私にしっくりくるのはどれかというのはあるけれど、どれが正解なんて言わなくていいんでしょう。
音楽、芸術はそれ単体に意味や価値があるのではなくて、それを見たり聴いたりした人間の頭の中にくる反応というか出来上がる世界みたいなものに価値があると思う。
その反応は人それぞれだし、好みもそれぞれ。
模範回答なんか気にしなくていいから自分の中に自分の世界を喜んでればいいんでしょう?

ピアノなんか弾けない私の頭の中にもこの曲こうなってほしいという私演奏が存在します。
ピアノが弾けないことが悲しいのはこういう時だ・・一生聴けないんだからそれは。

で写真はサロマ湖に沈む夕日です。
誰一人いなくて、凍った湖の上に立ちながら・・
落ちたら死ぬな。春まで見つからないんだろうなと思ってた。
死にたくないと思った。
楽器もできないし、出会ったそばから別れの曲みたいな人生だけど全然死にたくない。





Tag:ショパン  Trackback:0 comment:4 

Comment

ヨリック URL|音楽は歌
#- 2018.02.22 Thu22:54
楽器であろうがオーケストラで演奏しようが、音楽は、結局は自分の心の中にある歌を歌うことが「音楽」だと思っています。
日常、嬉しかった事、悲しかった事、さらには無為に過ごしてつまらなかった事、それらの感情がワタクシの心の中の歌を歌わせるのです。
その歌が、ある時にはショパンのピアノ曲であったりカントルーブの歌曲であったり、その時の自分の感情に近いメロディとなって頭の中に響くのです。ワタクシは音楽を聴いている時、いつも旋律を口で音に出している癖があります。
たまには3度、6度、離れて和声を作ってみたりします。
口ずさむ事の出来ない、旋律を持たない様な音楽はワタクシは好きではありません。
michael URL|夕空
#xNtCea2Y Edit  2018.02.23 Fri11:50
こんにちは

>サロマ湖に沈む夕日
上空が澄んでいるせいか、青い夕空というのも好きですね、夕空=赤いとは限らない、

ショパンのこの曲、たしかに中間部が激しすぎるし;別れ際にこんな一騒動あったりしたら、すんなりお別れできない;何か別の要素がありそうな^^
私もある曲の「ここがいい」と評論家や世間が言うところと別のところが好きだったりします。
unagi URL|Re: 音楽は歌
#- 2018.02.23 Fri22:27
ヨリックさん、こんばんは
生粋の音楽好きにして演奏家ですよヨリックさんは。
いろんな楽器をやってこられたというお話が私はとてもうらやましいです。
歌にあふれた人生ですよね。
憧れます。

ありがとうございました。
unagi URL|Re: 夕空
#- 2018.02.23 Fri22:41
michaelさん、こんばんは
自分でのせてて気づきませんでしたが、青い夕空というのがあるんですね・・
最近見た夕日は皆真っ赤な空ですねそういえば。

クラシック音楽はいつか博物館の展示標本みたいになってしまうのではないかと思う事があるのですが、

> 私もある曲の「ここがいい」と評論家や世間が言うところと別のところが好きだったりします。

そういう方がいてくださる限りクラシック音楽は生気をもって生き続けると思います。
よかったぁ。

ありがとうございました。
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2022年11月からピアノ習い始めました

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