青白い気分と白い店。

波がトンネルごと削り落としちゃうような断崖絶壁に必死にはりつく道路があって、その道路からは見えないようなところに隠れるようなカフェがあるらしいとは思っていた。
やっと行ってみた。
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脇道を少し下り初めて目にしたそれはいきなりいい感じ。
でもこの時これにどんな意味があるのか、ここが私にとってどんな場所なのかなんてまだ知るわけがない。 
店じゃなくて民家の玄関みたいな入り口を開けるとどうぞお入りくださいの声。
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予想通りの世界・・
でもないな、なにかがちがう。
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BGMなんてものは流れていないので波の音が聴こえる。
お客が話せばその声が響き渡る。
ついでに照明はついていないし空調もない、
素の空間
人によっては怒りだすと思う。
多少の違和感を感じつつ、ここはおしゃれカフェとは全く別なものなのだと理解しこれはこれと受け入れる。
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巨大な絵画や彫刻が置いてあり、ギャラリーも兼ねているみたいだ・・
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猫の店員さんに案内されテラス席へ・・
まだ警戒して全然心を開けてくれないけど。

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夏はいいでしょうねここ。
今はまだ寒いよちょっと。
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水平線とコーヒー。
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ニャーっと一言。
すっと立つ姿がこう名門の出身的な・・
でもまだお前に心は許してないんだよっと逃げちゃうのね。

さあ、会計をして帰ろうか
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あっ!
あの、リヒテルってピアニストの?
そうです。ここへ来られたんですよ・・・
有名だからすごいという考え方は陳腐だし、私は特にこの人のファンというわけではないけれどプロコフィエフのそばにいて初演もやった人がここへきてあそこに座ったと聞けばそれはかなり驚きますよ。
都会の有名店でそんなもん見てもうぜーと思っちゃいそうだけど、世間から隔離されたというか取り残された感のあるこんな所でだから余計に・・
あの人は都会を避け地方で小さなコンサートをして回ったそうだけれどこの近くのホテルに滞在した数日、日に2回とかここへきて体と心をいやしていていたという。高齢で体調もあまりすぐれなかったようだ。
あのカタカナも自分で書いたそうだ。誰も読めないわよとか言う奥さんにいいんだよかなんか言いながら。

この会話からマダムとの会話が急に広がった。
最近はマニアックなコンサートに通っているらしく、あなたも是非なんてパンフレットをもらったり。
好きなのは音楽だけでなく美術、建築と多岐にわたっているようだ。
この建物について聞いてみると、ここは戦後すぐに外人が建てた別荘だったという。築70年・・・なるほど、古さというものは全く感じさせないのは逆に当時の超絶モダンな建築だということですね。
新しいだけじゃない。普遍性を持っているんだと思う。
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たくさん話をしていると猫も心を開いてくれたのかやってきてくれて
撫でてよー。
シッポをぶんぶん振り回して。


https://www.youtube.com/watch?v=3mYQuFR8R4Y
ペレアスとメリザンドはベルギー人がフランス語で書いたらしいしフォーレはフランスの作曲家だけど、これはイギリスで上演する舞台への音楽として作曲を依頼されたため歌詞は英語。
この曲、旋律の音高が異なる2つの版があるらしくちょっとのことなのに全く異なる結果に聴いていて驚くことがある。
希望の光が消えてゆき孤独の闇の中で終わるこの曲に対し、長調的な進行から始まり暗に沈んでゆくこちらの版の方が圧倒的に効果的で好き。
冒頭、非常に単純な構造ながら音楽が青白い光を見せている。
もうこれだけで、歌詞なんかいらない気もする。

いろんな話ができてよかったと明るく結ぶはずなのに虚しさと寂しさみたいなのが襲って来たのはなぜか?
色々書いては見たけれど、全部どうでもいい。
所詮、誰とも分かり合えることなんかない。
でもそれだけに、短い間でも話ができたことに感動したりするんだと思う。

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改めて、いいね。
またきましょう。

Tag:フォーレ  Trackback:0 comment:5 

Comment

ばけぺん URL|こんばんは。
#- 2019.04.21 Sun19:00
unagiさん、こんばんは。

「リヒテル」ってカタカナのサインが人柄を現していて良いですね。これまでなんとなくリヒテルって頑固ですごく気難しい人というイメージでしたが、急にとても温かい人に思えてきました。コンサートやスコアから解放されて束の間の休息を得ていたんでしょうね。そんな場所を共有できるなんて素晴らしいですね。
unagi URL|Re: こんばんは。
#- 2019.04.21 Sun23:49
ばけぺんさん、こんばんんは
字は人を表すと言いますし自分の地を見て自分でもでもそう思いますが
外国の人が覚えてくれたカタカナにも人柄が現れるんですね・・
この人、ナーバスで怖いとか言われていたしきっとそれは事実でもあったんでしょうね。
でも人って一面だけでできてないなと最近よく思うんですよね。
きっと優しい素敵な面も持っていたんでしょうね。
日本を理解し、日本を好きでいてくれたようなことを昔本で読んで
そこが印象に残っています。
そんな彼が気に入って過ごした場所ですもんね。
また行ってみたいと思います。
ありがとうございました。
蝶 旅の友 URL
#YaItx3yU Edit  2019.04.22 Mon09:04
リヒテルさんを
浜松のリサイタルで聴きました。
怖いというイメージが定着していましたね。
いささか緊張して聴きましたが、彼はリラックスムードで演奏し、楽しい一面を披露してくれました。地方の演奏会で緊張感がほぐれたのでしょうか。
リヒテルって怖いばかりじゃ無いと感じた演奏でした。
でもCDで聴くと緊張感に溢れていますね。
 ( オーディオとクラシック )
unagi URL|Re: タイトルなし
#- 2019.04.22 Mon23:18
蝶さん、こんばんは
リヒテル危機に行かれたんですね。
リヒテル怖いってみんな思っていたんですね。
でも、小さな演奏会とか、リラックスした雰囲気とか
ピアノって元々そういう側面も持った楽器だと思うので
そんなところで時間を友のできたら
演奏者も聴き手も幸せだろうなぁと思います。
うらやましいです。
もうどうやったって無理ですし。
ありがとうございました。


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# 2019.04.24 Wed14:39
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