作家のやってるようなカフェ
箱根というのはなんかこうちゃんとした観光地だ。

ちゃんとした人がちゃんとした格好や気持ちで来るところだと思う。
気持ちも恰好もまったくちゃんとしていないけどふらふら来て歩く。
ホテルの裏側の狭い路地を歩いていると小さな看板が見える。
角を曲がると

いい感じ・・と言いたいけれど右側には何か訳ありな廃屋が強烈な印象。
火事?こんなとこにのせてちゃいけないかな。
奥へ行くと箱根写真美術館という看板。
どう見ても古い家屋利用のなんかなのにGoogleマップのレビューを見ると広い庭園の写真が並びなんかすごいところのようなことが・・・?
地図を見るとすぐそばに箱根美術館というのがあり、そこと混同している人がいるのかな。
写真に陶芸、絵画など・・アーティストな人が作品発表の場にカフェを併設しているのをよく見ますね
中をのぞくと、
こんにちは。美術館ですか?カフェですか?
あ、カフェえ・・

好んで聴かない人でもよく知っているクラシックの曲というのがあって、ムスログスキーの展覧会の絵をラヴェルがオーケストレーションしたものもその1曲でしょう。
まだFMを知らないというかラジオといえばAMだと思っていた頃に新聞のラジオ欄をみてこの曲を録音した。
NHKじゃなく民放だった。
ラヴェルが底本にしたのはリムスキーコルサコフが原曲にかなり手を入れた版だったので、あれは2重に編曲されたものを聴いていることになると思う。
ラヴェル自身その問題に気付いていて、何とかして原典版の楽譜を入手できないかと誰かに相談していたようなことを弟子の書いた本で読んだ。
原曲を知るとオケ版は聴けなくなりそのまま。
この組曲の大きな特徴として絵から次の絵へ移動するプロムナードという音楽がいくつか挿入されているけれど、単なる曲間のブリッジにとどまらずそれ自体が様々な表情を持った魅力的な音楽として訴えてくるとこがあると思う。
https://www.youtube.com/watch?v=StH0qZ20_xo
原曲の7曲目手前にあるプロムナードは冒頭のプロムナードに一見そっくりだ。

単調であるととらえたからかは知らないけれどリムスキーコルコフはこれをばっさりカットした。
それしか資料のなかったラヴェルのオケ版にも当然出てこない。
昔買ったCDの解説ではラヴェルはここをカットして・・と書いてあったような気がする。いいけど。

一見そっくりなんだけれど、でも違う。
変奏されているとかそういうのじゃなくて、
じゃどこが違うの?
うーんと・・
みたいな間違い探し的な変化がおもしろい。
冒頭にはあったsenza allegrezzaが2度目には書いてないのね。
いろんな絵を見てちょっと嬉しくなっちゃってんのかな?・・・そう思うと音が増強されている部分の説得力が・・とか。
これカットしちゃあかんじゃんか・・
なんて言わない。
リムスキーコルサコフがあれを出版して世に広めてくれなかったらこの曲忘れ去られていたかもしれないんでしょう?
ラヴェルが原典版を入手出来ていたら、ここはどうしただろうか?
この曲中高生くらいの頃によく聴いたし弾けないの承知で楽譜を買ってきたりした。ちょっと聴いてないくらいのつもりが気が付けば何十年もたっちゃってるのね。
ムスログスキーについては中学生の頃にどこかで読んだ理解されず酒におぼれ貧困の中で死んだ・・のイメージで止まっている。
・・作曲家に限らず人の不幸話は語り手に都合のいいようにデフォルメされていることが非常に多い。そんなものをサラッと見聞きしたくらいでなにか知ったような気になるのはほとんど間違いなんだろうと思う。

一人いた先客は外国っぽい衣装の瓶に入ったビールかなんかを飲みながら本を読んでた。
なんかいい過ごし方ですね。
森をイメージしたというハーブティーとオレンジピールのケーキ・・とか言おうとしたのに

結局わかりやすく旨そうな洋ナシとキャラメルソースのパフェを頼んでしまう。
パフェじゃなくてパルフェだっけ?
自分にとってどうでもいいような小さなこだわりが、誰かにとってはとても大事なものかもしれない。
洋ナシは凍らせてありキャラメルは強く主張しない、おいしいパフェだった。
壁にある時間はラジオの電話中継をやっているので相手をできないけど話しかけないでくださいみたいな張り紙があった。
帰り際、
ラジオに出てるんですか?
あれは家内のほう・・
私はテレビにもほぼ毎日出てますよ。
はぁ?
よく知っている芸能人の名前がでてきて・・
すぐ察して・・ああこの人有名な写真家かなんかなんだな・・箱根だもんその拠点がここなのか・・
本が出版されるとかそこにあるものはパリで個展を開いたときに・・
へー。
支払いを終えた瞬間店主は何かを指して説明しようとしたような気もする。
けどすかさずごちそうさまでしたといっちゃったのでそこで終わった。

すぐ裏手にはケーブルカーが走っていて、駅もすぐそこ。
隠したようなところにあると思ったけれど、駅前といえば駅前だ。
もしブラームスがカフェをやっていたら・・・は冗談でもあり得ないなと思うけれど、仮にマーラーが引退するような歳まで生き、道楽でカフェでもやったとして・・
そういうところに行って私は彼にファンなんですとか話しかけることができるだろうか?
差し出したスコアにサインをもらってとか・・
出来ずに黙って帰っちゃうかなぁ・・
そもそもそんな店には近寄れないだろうし、下手に話したりしたら人物も作品も嫌いになっちゃうかもな・・

ちゃんとした人がちゃんとした格好や気持ちで来るところだと思う。
気持ちも恰好もまったくちゃんとしていないけどふらふら来て歩く。
ホテルの裏側の狭い路地を歩いていると小さな看板が見える。
角を曲がると

いい感じ・・と言いたいけれど右側には何か訳ありな廃屋が強烈な印象。
火事?こんなとこにのせてちゃいけないかな。
奥へ行くと箱根写真美術館という看板。
どう見ても古い家屋利用のなんかなのにGoogleマップのレビューを見ると広い庭園の写真が並びなんかすごいところのようなことが・・・?
地図を見るとすぐそばに箱根美術館というのがあり、そこと混同している人がいるのかな。
写真に陶芸、絵画など・・アーティストな人が作品発表の場にカフェを併設しているのをよく見ますね
中をのぞくと、
こんにちは。美術館ですか?カフェですか?
あ、カフェえ・・

好んで聴かない人でもよく知っているクラシックの曲というのがあって、ムスログスキーの展覧会の絵をラヴェルがオーケストレーションしたものもその1曲でしょう。
まだFMを知らないというかラジオといえばAMだと思っていた頃に新聞のラジオ欄をみてこの曲を録音した。
NHKじゃなく民放だった。
ラヴェルが底本にしたのはリムスキーコルサコフが原曲にかなり手を入れた版だったので、あれは2重に編曲されたものを聴いていることになると思う。
ラヴェル自身その問題に気付いていて、何とかして原典版の楽譜を入手できないかと誰かに相談していたようなことを弟子の書いた本で読んだ。
原曲を知るとオケ版は聴けなくなりそのまま。
この組曲の大きな特徴として絵から次の絵へ移動するプロムナードという音楽がいくつか挿入されているけれど、単なる曲間のブリッジにとどまらずそれ自体が様々な表情を持った魅力的な音楽として訴えてくるとこがあると思う。
https://www.youtube.com/watch?v=StH0qZ20_xo
原曲の7曲目手前にあるプロムナードは冒頭のプロムナードに一見そっくりだ。

単調であるととらえたからかは知らないけれどリムスキーコルコフはこれをばっさりカットした。
それしか資料のなかったラヴェルのオケ版にも当然出てこない。
昔買ったCDの解説ではラヴェルはここをカットして・・と書いてあったような気がする。いいけど。

一見そっくりなんだけれど、でも違う。
変奏されているとかそういうのじゃなくて、
じゃどこが違うの?
うーんと・・
みたいな間違い探し的な変化がおもしろい。
冒頭にはあったsenza allegrezzaが2度目には書いてないのね。
いろんな絵を見てちょっと嬉しくなっちゃってんのかな?・・・そう思うと音が増強されている部分の説得力が・・とか。
これカットしちゃあかんじゃんか・・
なんて言わない。
リムスキーコルサコフがあれを出版して世に広めてくれなかったらこの曲忘れ去られていたかもしれないんでしょう?
ラヴェルが原典版を入手出来ていたら、ここはどうしただろうか?
この曲中高生くらいの頃によく聴いたし弾けないの承知で楽譜を買ってきたりした。ちょっと聴いてないくらいのつもりが気が付けば何十年もたっちゃってるのね。
ムスログスキーについては中学生の頃にどこかで読んだ理解されず酒におぼれ貧困の中で死んだ・・のイメージで止まっている。
・・作曲家に限らず人の不幸話は語り手に都合のいいようにデフォルメされていることが非常に多い。そんなものをサラッと見聞きしたくらいでなにか知ったような気になるのはほとんど間違いなんだろうと思う。

一人いた先客は外国っぽい衣装の瓶に入ったビールかなんかを飲みながら本を読んでた。
なんかいい過ごし方ですね。
森をイメージしたというハーブティーとオレンジピールのケーキ・・とか言おうとしたのに

結局わかりやすく旨そうな洋ナシとキャラメルソースのパフェを頼んでしまう。
パフェじゃなくてパルフェだっけ?
自分にとってどうでもいいような小さなこだわりが、誰かにとってはとても大事なものかもしれない。
洋ナシは凍らせてありキャラメルは強く主張しない、おいしいパフェだった。
壁にある時間はラジオの電話中継をやっているので相手をできないけど話しかけないでくださいみたいな張り紙があった。
帰り際、
ラジオに出てるんですか?
あれは家内のほう・・
私はテレビにもほぼ毎日出てますよ。
はぁ?
よく知っている芸能人の名前がでてきて・・
すぐ察して・・ああこの人有名な写真家かなんかなんだな・・箱根だもんその拠点がここなのか・・
本が出版されるとかそこにあるものはパリで個展を開いたときに・・
へー。
支払いを終えた瞬間店主は何かを指して説明しようとしたような気もする。
けどすかさずごちそうさまでしたといっちゃったのでそこで終わった。

すぐ裏手にはケーブルカーが走っていて、駅もすぐそこ。
隠したようなところにあると思ったけれど、駅前といえば駅前だ。
もしブラームスがカフェをやっていたら・・・は冗談でもあり得ないなと思うけれど、仮にマーラーが引退するような歳まで生き、道楽でカフェでもやったとして・・
そういうところに行って私は彼にファンなんですとか話しかけることができるだろうか?
差し出したスコアにサインをもらってとか・・
出来ずに黙って帰っちゃうかなぁ・・
そもそもそんな店には近寄れないだろうし、下手に話したりしたら人物も作品も嫌いになっちゃうかもな・・
Comment
遠くで見る景色が素敵なこともあります。
近付いて詳しく見ることが興味を倍増させることもあります。
ステキな思いをする為には努力と忍耐?
だから面白い日常なのでしょう。
箱根は、都心から近く足の便も良いので、何度行っても
良いところです。
美術館、博物館・・・沢山ありますネ。
ココも覗いてみたいです。
マーニさん、こんばんは
同じものでも人によって感じ方がまったく異なったり、
同じ自分なのにあるものへの見方がどんどん変わったり・・
そう思えば生きてる限りは退屈しませんね。
ありがとうございました。
nekochan59さん、こんばんは
箱根、そこ自体がいいだけじゃなくて都会からの距離もいいんでしょうね。
あんまり近すぎても非日常感が出ないし。
ほんとに何度行っても飽きなそうですね。
私はいつもただ冷やかし的に通過するだけなのかもしれないですが、
そのうちちゃんと箱根を楽しんでみたいです。
ありがとうございました。