いらない人には古い話も誰かの中では今も生き続け・・

この日、どこも大混雑で・・
どっか落ち着いた店はないのか・・
あそうだあそこいこう。
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店名に準喫茶とうたっているけれど古びたりはしなくてむしろ実は新しいくらいの印象で。
入った時には結構お客さんもいてにぎやかだった。
でも騒々しいとかじゃなく落ち着いていい感じ。
ここは大きな特色があって古い映画が大好きなマスターがやってるという。
こういのネタ的コンセプトでと言うもよく見かけるけれど、どうもそうじゃなく本物みたいだ。
レビューを見たら映画をよく知らない人にもマスターは色々教えてくれたりとか・・
ああいいなぁそういうの。
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手前にはジュークボックス。
奥はレコードじゃなく映画のパンフレット。
よくわかんないけどホワイトボードは何人かの人が書いた映画のランキング?

最初のお店で食いそびれたパンケーキセットを注文して・・
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わー美味しそうじゃない。
バターのほか、生クリームにジャムにいろんなフルーツを細かくしたもの・・いろんな味が楽しめる。
おっさんはバターの塩気で食うのが一番好きだと思っちゃったけど、フルーツ乗っけるのもなかなかいいね。
セットのだからなんとかブレンドとか名前の付いてないシンプルなコーヒーだけどでも飲みやすくておいしかった。

BGMはずっと古い映画音楽なのかな。
モノラルで・・音の感じから50年代よりもっと前?1940年代ものとかかなぁ?
ロシアがまずくなっちゃってアメリカへ移住した作曲家がちょうど映画音楽で必要とされハリウッドへみたいな話を昔読んだことがあった気がする。
ラフマニノフみたいな音楽があるのはパクリじゃなくてそんな作風の人がいたんだみたいな・・
あいまいな聞きかじりで間違ってるかもしれない。

https://www.youtube.com/watch?v=3WsZCLlsLqI
これは1938年録音で一部の人に伝説的名盤と認知されている物。

ユダヤ人に対する排他的感情や運動みたいなものは第2次大戦時に限らずその何百年どころではないもっと前からあったんだろう。
何度も書いてあれだけど私は高校生のころ街中の行き交う人から唾を吐きかけられたり暴言やこれ見よがしの咳払い等を浴びせられつづけたことがある。
自分の頭がおかしくなったのが原因で差別とは違うのかもしれないけれど、人というものは誰ということはなくみんな恐ろしい側面を持っていると勝手に思っている。

ユダヤ人のマーラーが音楽界の頂点に君臨していられたのは単に芸術家として優れているということのほかに政治的戦略家としても優れたセンスと能力を持っていたからじゃないだろうか。
残された書簡なんかから根回しとかなんとか色々やったことが解るらしい。
差別的な障害もいろいろあっただろうけど予測し排除しねじ伏せ・・
同じくユダヤ人であった愛弟子のブルーノ・ワルターは不幸な時代を生き、第2次大戦中ナチスの迫害を受ける。
1938年ナチスによるオーストリア併合は時間の問題であり、国外へ逃れる前の最後のコンサートがこれ・・だっけ?
モノラルにはあまり手を出さなかったけれどこれは無視するわけにいかず・・学生のころEMIの正規版みたいなのを買って聴いたかな。
マスターテープっていうのではなくいろんなSP盤からを再生させて最良の状態で復刻させる試みが多々行われているようで、CDもたくさんあるようだ。
自分が買ったのは・・とかもいいか。

かなり久しぶりにちょっと聴いてみるつもりが結局引き込まれ聴き入ってしまった。
セッションとかじゃなくてライブ一発取りってやつでしょう・・この時代にこれだけのものがあったのか・・と素直に思っちゃったけどそれは当時の人たちに大変失礼なはなしですよね。
そこにあるのは情熱的で生き生きとした音楽の現場だった。
指揮者の唸りが結構聞こえ、音楽からも棒でオケをがんがん引っ張ったり伸ばしたりしているのが見えるような。
ワルターが後年この曲のリハーサルをしているところが少し録られていて聴けるんだけど、ここはどうしてもとこだわってななおしていたある箇所が
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ここでも強いものをもって響くのが聴こえ、大事なものを聴いたような気がしてちょっと感動した。
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この世から消えていくような最終音、最初の拍手がちょっと聞えるからそこでもう指揮者はもうタクトを下ろしてるんだろう。
えっ?と思うようなそのあっけなさにナチスの迫害が迫っていることへ危機感や焦燥感が・・とか言ってもいいし実際そうなのかもしれないけれど、それより私は変な伝説にまみれ浸されちゃう前のこの曲の生で無垢な姿がそこにあるような気がしたりもして。

最終音の上に書かれているersterbendは普通に考えると消えて行くようにという意味だけど、死ぬようにとも訳せるという。
同じ音型とともにこの指示がある7番ではこの後に天国的な音楽が来ること、明らかに天国を歌った4番のフィナーレの直前にも書かれている事・・などなどわかりやすく面白いヒントでもあるので解説本なんかはこぞって・・この指示がなくとも音楽を聴いていくと諦め‥受け入れる・・みたいな事ののちのここに人の死を感じられるしそれでいいんだろうけど、狭い視点でわかりやすいヒントをいつまでも振り回していると何かを見失う気もする。
この曲とこの盤は昔からいろいろ言われてきた特別なものでもあるんだけど、
誰かに都合にいいように作られた伝説とか、信じられてきた解釈とか、昔の評論家がどっかに書いた私見とか、それにつられ判で押したように同じのが並んだ古参リスナーのレビューとか
そういうのを一切排除して、ゆっくり自分で聴きたいこの曲を。

メニューにはホットケーキもあったけれどパンケーキとどう違うんだろう?
また来て食べよう。
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びしっとオールバックに決めたマスターは身のこなしも話し方もプロの接客という感じでかっこよかった。
いろんなお店に行くけどやっぱり違うと違うね。
私もいつかマスターと話ができるようになれるだろうか。

Tag:マーラー交響曲第9番  Trackback:0 comment:2 

Comment

hobohobo URL|
#- 2020.02.06 Thu08:49
見てみたら僕の持っているCDもEMI盤でした。
最終楽章の急かされているような足取りには、聴いていて心がざわめくようでした。
もちろん、そのときワルターの置かれた状況を知ったうえで聴いているからだと思います。

初めて聴いた当時、バーンスタイン/コンセルトヘボウが一つの到達点みたいに言われていた時代だっただけに、その対比においても衝撃が大きかったんですね。
unagi URL|Re: タイトルなし
#- 2020.02.06 Thu16:13
hobohoboさん、こんにちは。
私もバンスタ/コンセルトヘボウは買って聴きました。
聴かなきゃいけないんだくらいに思って。
同じくらいの時期だったんでしょうか。
あれのフィナーレもまたすごいですね。
バンスタ/ベルリンフィルというのも出ると話題になって聞きました。
あんまり異演を聴かない私に手はいろんな盤を買って聴いたこの曲ですけど、演奏によってほんとにいろいろですよね。
どれがとか何が正しいかじゃなくいろんなことを感じたり考えてられるのが音楽の素晴らしいところで。
最近は若い人の新しい演奏があるらしいのですが、固まって気に入った盤ばっかり聴いてしまい私はもうちょっと干からび気味です。

ありがとうございました。
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