潰されてゆくけどつぶされない。

近所に45年くらい前に分譲された住宅地があって同じ形の家が立ち並んでた。
いつごろだったかある朝突然でっかいクレーンが来たかと思うと鉄骨を組み始めて既存の家をまたぎ周囲を見ろす要塞みたいな建物が建った。
なにかと思ったけどただの住宅でなんであんなにでっかくする必要が・・は大きなお世話ですね。
ランドマークってのは好意的な意味で使うんだろうけど威圧的で難攻不落感のあったその家、最近あれ?空き家になった?なんて思っていたら
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解体されていた。
あのハサミみたいなの、咥えるだけじゃなくてでっかいH鋼をすごい速さで裁断しちゃうのね・・
カッターという名前らしくてそのままだけど。
すげーな。
パワフルなのもすごいけど2台の重機が阿吽の呼吸で連携し人間の両手みたいに支え合ったり薄鋼板を折りたたんだりしてるのに感心しながら・・
でっかい方に乗ってるのは多分社長さんでしょうね、そのほかみんな私よりずっと若いけど良く動いて。
むかし重機に乗れる車両系建設何とかという免許を取りに行ったけど、ああいう解体系の重機に乗るにはまた全然違う免許が必要、あれはあぶねーからな・・みたいな話を聞いた。

すごいねあれ。
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え?なにが?
解体ってボルト外してくんじゃないの?とか嫁さんがくらいついてるのが意外で笑った。
他人の仕事の場だから写真なんか撮っちゃいけないと思ってみてたけどなかなか興味深く面白い。
あっちゃいけないけどなっちゃうんだろう、隣の家の塀は崩れ落ちちゃってた。
ちゃんと手当てしてくれるんだろうしよくあることなのかもしれない。

でっかい家の人とは全く接点もなかったしどんな人だったかも知らない。
いや、昔ここの窓から顔を出していた小さな女の子とは小学校でのある理由で接点があり全く覚えていないけど名前も知っていたはず。
この家の前を通るとたびたび思い出して、それをここに書こうかと思う事もあったけれど書かなかったのは
またいつものような自虐でしかないから。
名前も思い出せないのも古い記憶だからというだけじゃないと思う。
最近になって、実は思ってるほど事実は悪くなかったんじゃないとも思うけれど今更意味もないか。
そんな記憶も一緒にガラガラはがされ刻まれてトラックに積まれてゆく。
ついでに他の嫌な事もばらして持ってっちゃってくれないかな。
俺自体がなくなっちまうか。
あると何とも思わないけれどもう金輪際見られないかと思うとなんか見とかなくちゃいけないような気がしたりして
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もうかえろーよー

鋼鉄のイメージと言えばラフマニノフの第三協奏曲に2種類あるうちのでっかい方のカデンツァが浮かぶ。あれをものすごいスケール感というか轟音感で聴かせてもらえば大満足な反面、提示部をやった後はほとんどピアノがひとり弾きまくって終わちゃうような印象というか実際そんなで。曲の趣旨から考えればそれでいいんだろうけど余興じゃないまじめなシンフォニーを残した作曲家なんだからおしまいにもう一工夫おいてけたら誰も文句を言わない不動の名作になったのではないか・・なんてお前が言うなという話ですね。


https://www.youtube.com/watch?v=1Kwajecmh2c&t=20s
もっと極端にちょろっと提示の後ほとんどカデンツァで終わっちゃうプロコフィエフの2番も
1316.png
なんかこう鋼鉄振り回してるような印象が。
同じく交響曲を残した作曲家だけどこっちのはこれでいい気もする。
ちがうか後続楽章はなんだかよくわからずほとんど聴かなないままだ。
なんかこう、かっこいいのにまだ自分を抑えられてない訳の分かんない放蕩息子みたいな曲だよね。
1317.png
演奏者に寄るんだろうけど最後のあたりとか世界が終わっちゃうくらいに・・
ほとんどピアノが弾いてるだけの曲じゃないのかと思ったりもするけど最後にオケが受け止めてくれるからこんなあばれちゃってても様になるんだろうね・・

9077.png
夕方見に行ったら鋼材やコンクリートのガラはほとんど排出されわずかに基礎を残すだけとなっていた。
残された植木たちは何も言わないけれどきっと自分の明日を知っていると思う。

建った家が壊されるような時間が過ぎたんだなと思いながら戻る途中、小さな子を抱いたお母さんとすれ違いざまにあいさつをされる。
私の半分くらいの年じゃないだろうかあのお母さん。
記憶の中のあの小さかった女の子は今40すぎか、家壊してんの見に来たりもしないんだなってそりゃそうか。
あっちを見ればあったはずのものがなく遠くまで見通せる景色に目が違和感を訴える。
だけどもうこうだったという絵が出てくるわけでもない。
時間はどんどん過ぎて行き、意味があってもなくても、すべては過去のものとなってゆく・
顔から血の気が引いて口の中乾いて変になっちゃうような不安は多分勘違いじゃないんだろう。
だけどつぶされたら終わっちゃうしそんなわけにいかないんだから。
なんとか・・・

Tag:プロコフィエフ  Trackback:0 comment:0 

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